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2009 10,03 09:00 |
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【日本株週間展望】下値模索、世界ワーストからの回復遮る政策と為替 10月第1週(5-9日)の日本株相場は、日経平均株価が引き続き下値を探る展開となりそう。鳩山政権の政策不安、円高警戒感が足かせとなる中で、景気回復の足取りの鈍さも市場参加者に意識され始めた。世界主要株価指数の9月の騰落率ランキングで、ワースト1位だった日本株の回復への道のりは険しい。 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は、「3月を底にした上昇は8月中旬で終わり、長く続くボックス相場に入った。過去の例でも先行き期待と実勢悪が均衡する局面ではいつもこうだ」と指摘。日経平均は当面、9000-1万1000円のレンジの下限を目指すと見ている。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
ブルームバーグ・データで世界の主要88株価指数の9月騰落率(基準通貨円)を見ると、下落率1位はTOPIXのマイナス5.8%。日経平均もマイナス3.4%で10位。このほか上位にはポーランド、クウェート、エクアドル、ベネズエラなどの指数が並ぶが、下げたのは24指数と少数。ロシアやブラジル、中国など新興経済国をはじめ、韓国や台湾、インド、フランス、ドイツなど多くの市場はプラスだった。 上期末に伴う機関投資家などの決算対策売りで、例年9月の日本株の成績は芳しくない。東京証券取引所が再開した1949年以降、昨年までの日経平均の9月の平均騰落率はマイナス0.82%、26勝34敗で、12 カ月の中で最も悪く、今年もこの経験則が当てはまった。 下期に入り、新規投資資金の配分で10月の日本株は回復傾向かと思いきや、87年のブラックマンデー、昨年のリーマンショックに始まる暴落が響き、平均でマイナス0.15%と実は2番目に悪い。日経平均の終値が1日に、7月24日以来およそ2カ月ぶりに1万円の大台を割り込んだのは、10月相場の厳しさを暗示している。
9月の東証1部33業種の下落率上位は証券、その他金融、銀行の金融3兄弟。9月25日開催の20カ国・地域(G20)首脳会議では、2013年までに銀行の自己資本規制強化を図ることで一致。国内ではすでに証券最大手の野村ホールディングス、海外ではフランスの銀行最大手のBNPパリバが財務や事業展開力の強化に向け5000億円規模の増資を決定しており、金融株の1株価値の希薄化懸念が現実化している。 亀井静香金融相が表明する中小・零細企業の債務の返済猶予制度の議論の行方も警戒要因。証券・金融市場関係者の多くは、銀行の経営体力を弱め、かえって金融システムを痛めると制度導入には慎重で、亀井氏の個性的な発言をこなした冷静な落ち着きどころを求めている。大塚耕平金融担当副大臣らの金融庁作業チームは、法制化に向けた検討内容を9日までに取りまとめる予定だ。 BNPパリバ証券・株式派生商品営業部の平塚基巳部長は、「以前の日本株は海外市場に連動するだけだったが、幸か不幸か日本国内、中でも従来無視されてきた政策に非常に反応している。発言がどういうものかにより、さらなる下落もないとは言えない」と警戒感を口にする。
G20首脳会議では、経済政策の協調を一段と進めるとの声明を採択、米国の金融緩和策が長期化するとしてドルの先安観が強まり、9月28日の為替市場では一時1ドル=88円24銭と、8カ月ぶりの円高水準に達した。日本の藤井裕久財務相がその後軌道修正したものの、介入に当初否定的だったことが円高を加速させたとも見られている。 英ブルーゴールド・キャピタル・マネジメントのスティーブン・ジェン氏が「挑発されていないのに発せられた日本政府高官の発言は、急激な円高という問題を引き起こした。その後の釈明はさらに混乱を招いただけ」との見解を示すなど、海外からは厳しい声も上がった。 1日に日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、9月調査分)によると、09年度の輸出企業の想定為替レートは1ドル=94円50銭。大和証券SMBC金融証券研究所の試算では、1円の円高で経常損益率が0.7ポイント悪化するため、5円近く円高の現状は業績の下押し要因になると警戒される。三菱U証の藤戸氏も、「現在の日本株の予想PER(株価収益率)40倍は来期業績のⅤ字回復を織り込むが、シナリオに逆行する円高などには神経質にならざるを得ない」と話す。 米供給管理協会(ISM)が1日に発表した9月の製造業景況指数は、活動の拡大と縮小の境目を示す50を上回ったが、昨年12月以来初めて前月比で低下。足元発表された米国の経済統計は、事前の市場予想に届かないケースが散見され、これもドル安・円高警戒の背後にある。
国際通貨基金(IMF)が示した最新の世界経済見通しでは、09年の米国の経済成長率はマイナス2.7%、10年はプラス1.5%。失業率の増勢と景気刺激策の効果はく落が、回復の重しになるという。日本の10年の成長率予測はプラス1.7%、ユーロ圏がプラス0.3%。これに対し中国はプラス9%と、従来から0.5ポイント上方修正された。 「ブラジル、インドなどの株価指数が高値を更新する中で、わざわざリスクのある日本に投資する必要がないというのがグローバルファンドの普通の発想だ」と藤戸氏。8月まで5カ月連続で日本株を買い越して来た外国人も、9月は4週までに約1400億円売り越し、日本株相場は政治、為替、景況感、需給の四方で押し上げ材料を失いつつある。 10月1週の日本株相場に影響を与えそうな材料は、国内では7日に8月の景気動向指数、日本銀行の生活意識に関するアンケート調査公表、8日に9月の景気ウォッチャー調査、9日に8月の機械受注と株価指数オプション10月限の特別清算値(SQ)算出などがある。 海外では米国で7日にアルミニウム生産大手のアルコアの決算発表があり、日本よりひと足先に主要メーカーの決算発表が本格化する。一方、8日まで中国株式市場は国慶節で休場になる。
●草野グローバルフロンティア代表の草野豊己氏 「世界の株式相場は転換点を迎え、実体経済に即した株価形成の局面に移行した。象徴的なのは米国で、過去3カ月間の上げを主導したヘッジファンドなど短期投資家は、身動きが取れなくなった。べライゾンなど国内企業を売る一方、デュポン、キャタピラーなど国際企業を買う戦略もほぼ一巡、中国やEUの経済が本格回復していない現状、年末をにらみ、利食い売りを出しながらポジション調整を行うと予測される。日本株はさらに円高圧力もあるため、下値模索の展開だ」
「日本株には1ドル=90円割れの円高、民主政権への不安といった2つの独自の逆風が吹き、他国株と比べ弱含みが続くと見る。逆張り姿勢で相場の下支え役となることが多い個人が、買い意欲を弱めつつある点には注意が必要。個人は9月に大手銀行株へ積極的に押し目買いを入れてきたが、銀行株の下げが続き、含み損の拡大を余儀なくされている。もっとも、日経平均の下値めどは次の節目となる9500円程度と、ここからの調整は小幅で済むだろう」
「景況感の回復が一服している。日経平均は13週移動平均線を割り込んだが、景気回復のベクトルが下を向いた訳ではない。ただ、さらに相場を押し上げる要因がなく、下値を模索しながらのもみ合いを想定する。週末にオプションSQを控え、先物主導の展開も予想される」
「下値を探る展開になりそう。外国人の民主党政権に対する評価は、不安から不満に変わってきている。これまでの経済対策の成績は5段階中、1か2。予算を縮小するだけで、景気刺激策を出していない。また、藤井財務相が円高を容認するような発言をしたことで、為替の不安定さが払しょくできそうもない。金融や輸出関連が下がりそうな一方、巣ごもり銘柄やファーストリテイリング、ニトリなどが上昇すると見る」 記事:東京 院去 信太郎 Shintaro Inkyo PR |
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