大覚寺『観月の夕べ』龍頭船
『月を愛でに行きませんか！』（京都の休日９０）

　今年の『中秋の名月』の日は本日１０月３日です。
満月は明日４日です。

　古来から日本人は"月を愛(め)でる"習慣がございましたが、
昨今では口でこそ言え、実際には喧騒の中にかき消され、
忙殺の中、忘却の彼方へ････

「忙」と「忘」･･･

「忙」の部首は「りっしんべん」で「りっしんべん」は「心」をあらわします。
そして「忘」も「心」

両方ともに「心」が「亡」くなる･･･と、書きます。

「心」が亡くならないよう、本来の「心」･･･『真心』を取り戻しましょうね！

･･･と、いうことで、
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　月の神秘と日本人･･･なのですが、月にまつわる伝承も多いですよね。
すぐに思い浮かぶのが「月に兎(うさぎ)がいて餅をつく」･･･っていうものです。

「玉兎(ぎょくと)」とは「月」の別称なのですが、
一茶の句にも"名月の御名代かよ白兎"　があります。
「月」の斑点を兎と観るわけなのですが、なぜ兎なのだろう･････。

　古代中国では元々「月」の精は「蝦蟇(がま)」だったのですが、
唐代の銅鏡に、月の中央に桂の樹があり、左右に蝦蟇(がま)と兎と
嫦蛾(じょうが)を配した図柄のものがあります。この兎は不老不死の仙薬を
ついている。薬をつく兎が日本には「餅つき」となって伝わったのか、
あるいは日本で独自に「餅つき」と見立てたのか･･･
そのあたりは定かではないらしいのですが｡｡｡

　「月」を神格化したものには「古事記」と「日本書記」に出てくる
「月読尊(つきよみのみこと)」がいます。
日本の太陽神である「天照大神(あまてらすおおみかみ)」の弟です。
「万葉集」で「月読」といえば「月」のことです。

　一方、月面の斑点には「月の都」がある･･･って発想から、
その影響で「竹取物語」が出来上がったんです。

「かぐや姫」は「おのが身はこの国の人にあらず、月の都の人なり」
といって、迎えの船に乗って月へ帰って行きます。
都の名のある男たちがこぞって求愛した「かぐや姫」の美しさは、
生まれ故郷が「月」であるからこそ当時は納得できることで、
月は「美」の象徴と憧れの対象だったのであろうと思います。

･･･と、講釈はこのへんで･･･

　ようは「月」はしみじみとした情趣をもたらしてくれるってことで、
中秋のひときわ輝く名月は、今回は是非観て戴きたいなぁ～･･･なんて
思って･･･

　今年の『中秋の名月』は１０月３日なのですが、
秋の澄んだ空に、冴え冴えとした満月を愛でる風習の「お月見」を
是非！京都で「平安絵巻」さながらの幽玄の観月会へ！！

■■大覚寺　観月の夕べ■■

◆10月2日（金）～4日（日）

　大覚寺は、平安時代初め、嵯峨天皇が営んだ嵯峨離宮に始まります。
寺域の東に広がる大沢池は、中国の洞庭湖を模して造られた苑池で、
月と、周囲の山々のなだらかな稜線、木々とのコントラストが非常に美しく
石山寺や猿沢池とともに古くから日本三大名月観賞池に数えられてきました。

「観月の夕べ」では、天皇や大宮人たちが池で船遊びを楽しんだという
いわれから、龍頭船、鷁首(げきす)船が浮かべられ、船の上で抹茶が
いただけます。ほかに、池に張り出す五大堂の観月台でも、
月を愛でながら抹茶が味わえます。
　期間中毎日行われる満月法会では、月光菩薩への献花のあと、
月を望む場所に造られた祭壇に団子や野菜が供えられて、読経が流れます。

　揚琴やお琴の演奏などの催し、堂内の夜間特別参拝も実施されるなど、
さまざまな楽しみが秋の夜長を彩る「観月の夕べ」です。

【住所】　京都市右京区嵯峨大沢町４
【電話】　TEL:075-871-0071
【名月鑑賞時間】　午後５時～午後９時
【料金】　参加費（拝観料）500円・小中高生300円、
　　　　　乗船券1200円（抹茶、菓子付）、本席券／観月席（立札形式）600円

「観月の夕べ」ミニコンサートがございます。
バイオリンとブズーキの演奏
演奏：熊澤洋子さん（バイオリン）、きしもとタローさん（ブズーキ）

http://www.daikakuji.or.jp/event/fall.html

■■下鴨神社「名月菅絃祭」　１０月３日■■

【住所】　京都市左京区下鴨泉川町59
【電話】　TEL:075-781-0010
【名月鑑賞時間】　午後５時半～午後９時
【料金】　拝観自由。お茶席は1000円。

【見どころ】
　祭典は午後５時半から橋殿(重要文化財）で行われます。
神事のあと、古式ゆかしい舞楽や十二単（ひとえ）の平安貴族舞などが
２時間にわたって奉納されます。斎庭に設けられた観月茶席で名月を楽しめます。

【由来】
　昭和38年から一般に公開された菅絃祭は、平安時代以来の伝統を持っている。
ススキの穂を飾り、かがり火がたかれた舞台では、壮重な雅楽にのって
舞楽が演じられます。

■■上賀茂神社「賀茂観月祭」　１０月３日■■

【住所】　京都市北区上賀茂本山町
【電話】　TEL:075-781-0011
【時間】　午後５時半～

【見どころ】
　神苑外幣（げへい）殿で神事を行ったあと、舞楽や琴の演奏、
謡曲と仕舞などの奉納があります。先着300名様には月見だんご、
にごり酒の接待も予定されています。

【由来】
　1992年の境内の灯ろう設置を記念して、家内安全や健康を祈り、
舞楽など各種芸能の上達を祈る観月祭を催すことになりました。
上賀茂神社はそれまで境内に明かりが少なく、とりわけ昔ながらの参道のある
奈良の小川沿いは、木立に覆われ真っ暗でした。
このため、92年初めから全国に灯ろう設置への協力を呼びかけました。

■■嵐山「嵐山観月の夕べ」■■

【住所】　京都市右京区　渡月橋上流
【電話】　TEL:075-861-0302（嵐山通船株式会社）
【時間】　午後５時半～午後８時
【料金】　1500円(乗船券・抹茶付き),1100円(乗船券のみ),600円(抹茶のみ)

【見どころ】
　琴や尺八の調べを聞きながら、ススキの穂をつけた屋形船に乗って
中秋の名月を観賞します。大堰川（保津川）左岸ではかがり火がたかれ、
乗船場では月を眺めながら抹茶を楽しめます。

【由来】
　宇多上皇の歌にもあるように、嵐山は平安時代から貴族たちの観月の名所
だったことにちなみ、嵐山保勝会が93年、初めて企画しました。

■■高台寺「観月茶会」■■
９月11日～９月27日の金・土・日

【住所】　京都市東山区高台寺下河原町526
【電話】　TEL:075-561-9966
【受付時間】　受付：午後５時～午後６時
【料金】　5800円（点心・喫茶付）

【見どころ】
　茶会、「羽柴」での点心、高台寺・圓徳院の庭拝観、
石塀小路でのコーヒーまたは紅茶の接待と、内容は盛りだくさん。
華やぎと文化の香りに包まれ、厳かな宵を過ごせます。
庭より仰ぐ月の風情も格別です。

■■美山かやぶき美術館「第９回能楽の夕べ」　９月１２日■■

【住所】　京都府南丹市美山町島　美山かやぶき美術館　特設舞台
（雨天の場合　南丹市美山文化ホール）

【電話】　TEL:0771-75-5100（宮島振興会）※バス予約も受付中
【交通】　ＪＲ「園部」駅から送迎バスあり。大人往復1500円、小人同750円で、
　　　　　10日までに予約が必要。

【開催時間】　開場は午後５時３０分、開演は午後７時
【料金】前売券：一般2500円、中・高校生500円。
　　　　当日券：一般：3000円、中・高校生：500円

【見どころ】
今回は、狂言の「棒縛（ぼうしばり）」と、能楽の「鵜飼（うかい）」が上演され、初秋の山里を幽玄の世界でつつむ。「棒縛」は、自分の留守中に下人が酒を盗んで飲めないようにするため一計を案ずるというもので、まんまと二人の下人を騙して縛り上げてしまうが、下人の方も、酒が飲みたい余りに百計を案じだし、縛られたままの不自由な姿勢で酒を盗み飲むという、知恵比べの喜劇である。「鵜飼」は、禁漁の罪を犯したために殺された漁師の悲劇と、その鵜飼の業の見事さ、そして「法華経」による救済を描く。

【由来】
　美山で古典芸能にふれ合う機会が少なく、名月の時期にかがり火のもと
能を観賞できないかと2000年から開いています。

※尚、上記内容は変更される可能性があります。各社寺に御確認下さいませ。