ロンドン在住アーティストの駒井弘枝さん、故郷・京都で初の個展
烏丸経済新聞　2009年09月04日
http://karasuma.keizai.biz/headline/874/

　四条烏丸のアートショップ「shin-bi」（京都市下京区烏丸通四条下ル COCON烏丸3階）で9月4日、京都生まれでロンドン在住の造形作家・駒井弘枝さんの個展が始まった。開催初日には駒井さんが参加してオープニングパーティーが行われた。

　今回の個展では「都市風景の3次元コラージュ」を表現。都市（コスモポリタン）と家庭的（ローカル）建築物の融合をテーマにした作品が数多く展示されている。

　日本の伝統建築とロンドン家庭内で行われるDIYの「手作り質」、モダニスト建築を融合した作風が駒井さんの作品の特徴。これまでロンドン（イギリス）、ベルリン（ドイツ）、ローザンヌ（スイス）など海外で展覧会を開催してきたが、日本で開催するのは今回が初。「shin-bi」を運営している京都精華大学（立体造形専攻）を卒業した縁から同展での開催が決まった。

　同展について、「生まれ故郷の京都で触れていたもの、ロンドンなど海外で触れてきたものをバランスよく表現したかった。作品を感覚で味わってほしい」と駒井さん。

　開催時間は11時～21時。無料。今月27日まで。

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駒井弘枝　Modern Living
アートショップ「shin-bi」
http://www.shin-bi.jp/modules/wordpress3/index.php?p=73

ロンドン在住のアーティスト駒井弘枝の日本で初の個展を開催します。
駒井自身が“都市風景の3次元コラージュ”と表現するように、今回展示する新しい作品は、都市（コスモポリタン）と家庭的（ローカル）な建築物をモチーフにそれを変換させるというプロセスで制作されています。
駒井の作品は歴史の参照と現代性をアイデアの基としています。京都で生まれた駒井は子供のころから伝統的な古い建物とその環境に囲まれて育ちました。日本の伝統建築はモダニストの美学と哲学に不可欠な影響を与えており、後に駒井がロンドンで学んだあと、自分自身がどうしてモダニストの建築にこれほど魅了されるのか、そしてそれが大きな範囲で自分のバックグラウンドとしてすでに理解されていたことに気づきました。海外で学び生活するということ、そして日本の外にいることによって発見される自分のバックグラウンド、この二つの要素が現在の駒井の作品のなかで自然発生的に混ぜ合わされています。　
1990年中ごろにロンドンに渡った駒井は、文化の違いに遭遇し、その中でとりわけイギリス人のDIYカルチャーに興味を持ちました。DIYはDo It Yourselfの意で、日本の日曜大工と同等の意味ですが、内容は日本のそれよりかなり真剣です。日本では住居の規定が厳しいため壁に釘を一本打つにもためらわれます。壁紙も特に選択枠が多いわけでもなく、入居時にはすでにインテリアができていて、その後もほとんど手を加えられることはありません。一方、イギリスの住居は、居住者によってどんどん変化します。壁紙替え、ペンキ塗りは当然のこと、床、天井の張替え、棚作り、絵を掛ける、等々。これによって日本の‘既成美’とは対照的にしばしば奇妙な‘手作り質’が見られますが、ここにイギリスの個人主義（あと先、人のことを考えない、自分のやりたいようにやる）と日本の受身で集合的な態度（周囲に気を配る繊細さ、故にとっぴなことをしない）とのコントラストを見せています。
駒井の作品は家庭内で行われるDIYの‘手作り質’と、きちんと整頓されたモダニスト建築そして日本の伝統、この対照する要素の並置によってできています。それらは建築的記録（ドキュメンテーション）、フィクションそして社会的論評のどこかに位置づけられるでしょう。

駒井弘枝

京都生まれ。ロンドン在住。
1993年、京都精華大学、立体造形専攻卒業。
2000年、キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アートでファインアート学士（首席）、2003年、ゴールドスミス・カレッジ、ロンドン大学にて大学院終了。
ロンドンをはじめ国際的に幅広く作品展をもつ。
最近のグループ展、Schwartz Gallery, ロンドン (’Wonder Island’ 2009)、Lucy Mackintosh Gallery,　ローザンヌ, Sスイス (’Eau Sauvage’ 2006)、Oqbo、ベルリン, ドイツ (’Hai Schai Mai’, Berlin Gallery Weekend 2009)。
共同キュレート、Yinka Shonibare’s studio、ロンドン（’Three by Three part IV’ 2009）。