相田みつを　作
人の幸せって何だろう？　日本理化学工業

日本理化学工業 株式会社　大山会長さんの下記の言葉が
ワタシにはとても心地よく響きます。

・人に愛されること
・人にほめられること
・人の役にたつこと
・人から必要とされること

この会社では、主に黒板のチョークを作っているのですが、
驚いたことに従業員の７割が知的障害者だといいます。

５０年近く前、最初は養護学校の先生から頼まれ２週間の研修だけの
約束だったのですが、一生懸命働く２人の姿に心を打たれ、
次第に障害者を雇用するようになったといいます。

最初は同情からだったのですが、その一生懸命に働く姿に、
逆に教えられることが多かったとか。

養護学校を卒業しても、障害者施設に入っていれば、
無理して働く必要はないのではないのか？

しかし、満員電車に揺られてまで通勤し、生き生きと喜びながら働いている。

何故なのか？？？

大山会長は答えが分からなかったと言います。

そんな時に、ふと偶然出会った禅僧に尋ねてみたのです。

禅僧は、人の幸せについて四つを説きました。

・人に愛されること
・人にほめられること
・人の役にたつこと
・人から必要とされること

働くことによって愛以外の三つの幸せを得られるんです。

大山会長は、後年こうも考えるようになった。

「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う･････」

日本でいちばん大切にしたい会社

[1回]

障害者７割のトップ企業　原動力は「働く幸せ」

時代と共に色が増え成分が変わった。
しかし、１１．２ミリの直径は昔も今もそのままだ。
なぜなら、それが大人の手にも子供にもちょうど心地よいから、という思い。
そんなチョークを７０年以上も作り続けてきた会社。
日本理化学工業。
チョークの国内シェア３０％を占めるトップメーカーだ。

一方で、従業員の７割以上が知的障害者という障害者雇用の先駆けでもある。

チョーク作りの最初の工程は、練り。
同じ量の原料でも、季節やその日の天気によっても硬さが違い、
水の量を調整して最適なものにする。
カラフルに染まった粉の固まりは、１本１本丁寧に曲がらないように
並べて切断、６時間感想させると硬いチョークに変わる。

従業員７５人のうち５７人が知的障害者。
その半数以上が重い症状だ。
なぜ、これだけの障害者を雇用するのか。
そのきっかけになったのが、５０年前の出来事だ。

話を聞いて欲しいと工場を訪れたのは、近くにある養護学校の教師だった。
「３月に卒業する女子生徒２人の就職先をお願いできないでしょうか」

大山泰弘会長
「いきなり（会社に）来られて、ましてや（私は）福祉的な用語を
全然知らない。先生、無理ですと。」

それでも教師は諦めず、また工場にやって来た。
「就職が無理なら、せめて働く体験をさせてやってください。
そうでないと、この子たちは働くことを知らずに一生を終えることに
なってしまいます」
その言葉に胸を打たれ、２週間だけの職業体験なら、と２人を受け入れた。
そして、約束の２週間が終わろうとした時、社員全員が大山さんを取り囲んだ。
「どうかあの２人を社員として採用してあげてください。
できないことがあれば私たちが面倒をみますから」

大山泰弘会長
「昼のベルが鳴っても、周りが止めるまで仕事を続けていた。
あんなに一生懸命にやる子なら私たちが面倒みるからと。
それが（障害者）雇用のスタートだった」
あれから５０年。
１５歳だった少女は今も工場で働いている。

５０年前に入社した女性（６４歳）
「（９５歳になる）母が５０年になったからと言って、
赤飯を作ってくれたりしてもらった。嬉しかったなぁ」

とはいえ、障害者にとって作業を覚えることや記憶したり数を数えることは
容易ではない。
それを補うための工夫、機械を動かす時間を時計で計れない障害者のために
砂時計を使った。
原料を量る量りは、あらかじめ必要な重さの重りを色分けし作業を単純化した。

女性社員
「このやり方は合わないなということであれば、また違うやり方を･･･
ということで、失敗を繰り返してその人に合うやり方を見つけてきた」

各自の「得意な工程」に特化することで、健常者が１時間で１０００個
できる物が、たとえ１００個しかできなくても、作業の細分化で
５人合わせて５０００個作れればいいという考えだ。

障害者たちの給与は月に１２万円前後。
最低賃金法で定める金額が支払われる。
年２回のボーナスや役職に応じて手当ても付く。

入社４年目の男性（２４歳）
電車とバスを乗り継ぎ１時間かけて通勤する。
家に帰るとその日あったことを母親に話す。
仕事を始めた時は覚えるのが大変で体が付いていかなかったと言うが、
母親の目に映る息子は日々変わっていった。
「親から見ても立派になったと思います。（これまで）あまり手伝って
くれなかったのが、自分から僕が手伝ってあげようかとか
そういう言葉が出てくるようになった」

障害者の割合を増やしながら、業績も順調に伸ばしていた会社。
ところが、壁が立ちはだかる。
少子化によるチョーク需要の減少だ。

工場長でありながら営業で全国を飛び回る西川さん。
会社の生き残り、そして障害者の雇用を守るためにも、
何か新しい商品を開発したいと考えていた。

西川工場長
「入社したての頃、若いから客の所に行ってもチョークを買ってくれないし、
本当にがっかりして悩んで毎日を過ごしていたが、
（障害者職員が）西川さん、元気出してねと。これが本当に嬉しかった。
（障害者職員が）こんな一生懸命頑張ってるのに、
自分はもっと頑張れるはずだという力を彼らからもらったものだから、
今度はやはり自分が何か恩返しできないかとずっと思っていた」

そういった中で西川さんが目をつけたのが、北海道で処分に苦労していた
ホタテの貝殻。
貝殻の成分はチョークの原料と同じ炭酸カルシウムだ。
研究に研究を重ねた結果、砕いた貝殻の粉末を１０％ほどの割合で混ぜると、
重たい粒子の影響でチョークの粉が従来品より飛ばなくなった。
さらに、ホタテの特殊な繊維が混じると強度が増し折れにくくなることが
分かった。そして４年前、ホタテのチョークが製品化されると、
「折れにくく粉が飛ばない」優れた製品性だけでなく、
「環境にも優しい」と一気に全国へと広がった。
現在、会社の主力商品だ。

「仲間に救われ、仲間を救う」
それは障害者を雇用した時に打ち立てた会社の理念でもある。

大山泰弘会長
「人間の究極の幸せは４つですよと言われたのが、愛されること、
ほめられること、役に立つこと、人に必要とされることなんですよと」

４つに理念が浸透しているのは会社の職員だけではない。
５０年前に一期生を送り出した養護学校もずっとその理念を共有してきた。
自分たちを必要としてくれる会社を決して裏切らない。

都立青島特別養護学校・岩井校長
「知的障害のある方についても、本当に仕事はできるので、
お互いに共に生きていく社会づくりに向かっていければありがたい」

しかし、景気の悪化は障害者雇用にも及んでいる。

解雇された障害者数（厚生労働省調べ）
2008年：
・１０月　１２５人
・１１月　２３４人
・１２月　２６５人

障害者の解雇が３ヶ月で倍増し、４月からの入社を取り消されたケースもある。
チョークを取り巻く環境も厳しいことには変わりはない。
だから、つねに新しい商品を開発し、トップ企業であり続けることで、
障害者の雇用を広げたいと願う。

大山泰弘会長
「社会で働いてこそ本当の幸せと、それを教えてくれたのは知的障害者だった。
企業も幸せを提供していることが１番の貢献と思えば、
（雇用を）ぎりぎりまで頑張ると」

北海道の試験場では、現在、真珠を採取後の不要になった
アコヤ貝の貝殻を使い、新たなチョーク作りに取り組んでいる。
試作品３万本はもうすぐ完成予定だ。
また、ガラスにも書ける、消せるチョークマーカーなども開発、
需要の呼び起こしに努める。

愛されること、ほめられること、役に立つこと、人に必要とされること、
４つの理念を貫き作られたチョークは今日もたくさんの手に包まれる。
（以上）

　景気後退による雇用環境の悪化の影響が障害者にも及んでいる。一定割合の障害者の雇用は企業の義務だが、昨年秋以降は就職件数が減り始め、解雇も急増中といい、厚生労働省は警戒を強めている。（日経新聞）

今の金融危機で障害者雇用にも影響が及んでいます。
「自己責任」論者は彼らも切り捨てるのでしょうか？？

労働者・人件費をただの「コスト」としか考えない企業が
当り前に堂々としている昨今。
派遣はただの雇用の「調整弁」です。
そこに人の幸せはありません。

不幸せをバラ撒き、小金を集め回っていて楽しいですか？？経団連さん｡｡｡