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2012 09,13 09:00 |
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コラム:金融ハリケーンの季節に突入 北大西洋のハリケーンシーズンは8月半ばから10月までで、嵐が最も猛威を振るうのは9月半ばだ。それより馴染みは薄いが、破壊力がさらに大きいのは金融ハリケーンの季節がもたらす混乱で、奇しくも気象上のハリケーンと時期がほぼ一致する。
近代史における大規模金融危機の大半は、8月半ばからの2カ月間に集中している。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
このような体系においては、小さな摂動(せつどう)が蓄積して大きな影響をもたらす引き金を引くことがある。そして、気象上の転換点が訪れるのは夏の無風期に蓄積した湿度の高い大気を、秋の気流がかき乱し始める時期であるのとちょうど同じ様に、夏季休暇で静かになっていたトレーディングが通常に戻る時期に金融市場でも似た現象が起こるようだ。夏に市場が無視を決め込んでいた数々の出来事に対し、突如として暴力的な反動が出ることがある。 もちろん、世界経済はカリブ海と同じ規則性でハリケーンを経験するわけではない。しかし夏に大きな出来事が起こった年に、秋に入って金融市場が混乱する確率はかなり高い。歴史的に見て9月に株式市場のパフォーマンスが最も悪いのはこのためだろう。実際1920年代以来、ニューヨークの株価が月間平均で下落しているのは9月だけだ。 現在の疑問は、この夏に起こった破壊的かつ失望を誘いかねない出来事に世界経済は既に順応したのか、それとも夏にトレーディングがなぎ状態だったのは単に嵐の前の静けさだったのか、ということだ。 この答えが出るのは、6日の欧州中央銀行(ECB)理事会と7月の米雇用統計発表を皮切りとする期間になる。さらに、12日のドイツ憲法裁判所によるユーロ救済基金に対する判決と、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)による量的緩和をめぐる決定も、金融市場の信頼感を試すことになりそうだ。 しかしこうした馴染みの問題にばかり注目する代わりに、世界の他の地域で最近見られる気掛かりな動向を検証してみる価値はある。中国では、金融・財政面で景気刺激策を繰り返し実施しているにもかかわらず、思うように景気が加速していない。これは政府と中央銀行の対策がまだ不十分なだけかもしれない。しかしながら中国経済が複雑化し過ぎて、過去ほど制御や微調整がうまく効かなくなった可能性もある。あるいは、これまでの中国の刺激策が期待外れの結果に終ったのは、世界中で顕著になりつつある金融政策のより広範な失敗を反映しているのだろうか。 最近の英国の失望を誘う有様は、後者の解釈を支持している。英経済はもう2年間も成長していない。キャメロン政権が、拡張的な金融政策がデフレ的効果を相殺することを期待し、財政引き締めという革新的な実験を決意して以来だ。キャメロン首相は今週多くの閣僚の首を切り、新たな成長戦略を発表することで、この実験の失敗に対応した。 しかしもっと目を凝らして見ると、この「新」政策は、失敗した政策に二倍の賭け金を賭けているだけなのかもしれない。成長戦略は、2015年以降に不人気な新空港や鉄道を建設するという約束が主な内容だ。一方、政府は支出削減と増税を続ける構えで、銀行や債券投資家にさらに金を渡せば成長を回復できると期待している。過去4年間の経験を踏まえれば、そうなる可能性は低い。 しかし英国が金融緩和によって経済を復活させられないとすれば、米連邦準備理事会(FRB)からより良い結果を期待できるはずがないだろう。バーナンキ議長はジャクソンホール会合での講演で、力強い景気回復を達成するまで米債券市場に資金を供給し続けることを実質的に約束した。だが2010年から12年にかけて量的緩和が完全雇用をもたらせなかったのに、13年にもっとうまく機能するわけはない。 銀行に大量の資金を供給することは、米英の金融システム崩壊を防ぐ緊急手段としては非常に有効だったし、ユーロの崩壊を防ぐ上でも同様に効き目を示す可能性がある。ただし、ドイツ政府がそれを容認すればだが。もっとも金融市場の安定と経済成長は別個の問題であり、異なる解決策を必要とするのかもしれない。残念ながら政策当局者らはこの区別を理解していないようだ。米英は、紙幣増刷が逆効果になり得ることを認めない。対照的にドイツは、紙幣増刷が効果を発揮し得るという考えを受け入れない。
これでやっと、この秋に金融ハリケーンをもたらしかねない不安定感の最も重要な源泉にたどりついた。つまりECB、ドイツ、そしてユーロ圏の他の諸国との間で勃発寸前の衝突だ。この衝突が10月19日の欧州連合(EU)首脳会議に向けて強まるのは間違いない。10月19日といえば、まだまだ金融ハリケーンシーズンの最中だ。 *アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。 *このコラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。 そろそろこの記事を載せてもよいかなぁ~・・・と、思いまして・・・・・
昨晩のNY株式市場は、ドイツ憲法裁判所の判断を好感して続伸。 相場格言で、NYの人たちの心境を例えれば、
「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、 現在の状況は、このどれに相当するのだろう・・・って考えるのですよねぇ~・・・・・ PR |
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