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2010 05,26 23:45 |
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住宅底打ちで大手不動産に業績向上の兆し、賃貸事業に不透明感 大手不動産3社(三井不動産(8801.T)、三菱地所(8802.T)、住友不動産(8830.T))の収益に上向きの兆しが出ている。 サブプライムローン問題発生後から低迷を続けていたマンション販売など住宅事業が底打ち、各社とも11年3月期は業績の下支え要因になる見通しだ。ただ、賃貸事業については不透明感が残っているため、全体としての回復ペースは緩やかになると想定されている。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
マンション販売は05年をピークに業界全体で縮小し始め、リーマンショック以降は景気悪化や市況低迷によって大きく落ち込み、09年の全国発売戸数は約8万戸と05年の半分以下の水準まで減少した。しかし、今年に入り供給戸数、契約戸数、契約率が前年対比で上昇傾向を示しはじめ「足元で顧客の買う勢いが、マンションブームだった4年前と同水準以上になっている」(住友不動産の竹村信昭取締役)との声も出ている。 とりわけ好立地物件の成約戸数増加が目立ち、全体をリードしている。野村不動産(3231.T)が東京都豊島区で分譲中の大規模マンション「プラウドシティ池袋本町」では、都心駅前(JR埼京線板橋駅徒歩2分)の立地や環境共生型のコンセプトが評価され、第1期325戸が即日完売した。竣工は11年3月の予定。 販売が上向いてきたのは、価格下落によって値ごろ感が生じている上に、景気回復なども理由として考えられているものの、見逃せないのが住宅金融の拡充や、住宅版エコポイント、住宅購入時の贈与税に関する非課税枠拡大といった政府の住宅取得促進策だ。たとえば「プラウドシティ池袋本町」の契約者属性は、4分の3が年収1000万円以下だったのに対し、自己資本1000万円以上が契約者の6割を占めたという。住宅取得金の贈与税非課税枠は、これまでの500万円から1500万円(10年中)、1000万円(11年中)に拡大されるため、この政策が「マンション販売に好影響を及ぼしている可能性がある」(バークレイズ・キャピタル証券、住宅・不動産担当アナリストの橋本隆氏)という。 ただ、マンション販売は好調なものの「前回のピーク時に高値で仕入れた用地が残っており、それが一巡するまで不安が多少残る。各社とも減損処理を進めてきたが、まだ採算面で万全な状態とは言えない」(国内系証券・不動産担当アナリスト)との指摘もある。三井不動産の蔵本誠三常務は「住宅市場の販売状況は改善している。今期は(これまでの先行投資分の)回収の促進を図りたい」と話すなど、過去に取得した用地物件をいかにさばいていくかがポイントになりそうだ。 一方、オフィスビル賃貸事業は、3社とも11年3月期のセグメント別営業利益で減益を想定している。オフィスビル需要は景気に対して遅行性があるため、市場では需要の本格的な立ち直りには、時間を要するとの見方が多い。実際、三井不動産は11年3月末の空室率について、4.0─4.2%程度(10年3月末は3.9%)と想定し「空室率に関しては保守的にみている」(蔵本常務)という。三菱地所でも10年3月末のオフィスビル空室率は、従来予想の3.2%から3.4%に着地したのに続き、11年3月期は3.7%に悪化するとの見通しを示している。これについて同社の清沢光司広報部長は、新規需要は強いというところまでに至っていないとした上で「緩やかにしか回復しないとみている」と語っていた。 もっとも、徐々にではあるが、オフィスビル需要にも変化の兆しが出始めている。三鬼商事によると、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の空室率で、新宿区、渋谷区の2区は3、4月と2カ月連続して低下したという。これについてバークレイズ・キャピタル証券の橋本氏は「新宿、渋谷は営業エリア、残り3区は本社エリア。営業エリアで空室率が改善しているのは、景気上向きが波及してきたと言えそうだ。渋谷はIT、ベンチャー企業のオフィスが多いことも注目点となる。足元の状況は変化したとみていいだろう」と分析する。その上で「先行して調整していた高額のSクラス、Aクラスのビルは、賃料がボトム圏。景気回復期にはこれらから需要が出てくる。景気回復によってオフィス需要が顕在化すれば、Sクラス、Aクラスの空室率は改善が想定される」と指摘する。 全体への波及には時間を要するとしても、住宅事業の上向きに加えてオフィスビル需要が復調すれば、不動産業界は緩やかながらも回復に向かいそうな状況だ。 水野 文也記者 PR |
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