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2009 02,07 20:00 |
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なぜトヨタより先に決断できたのか ― 日本電産社長 永守重信 このオッサン、ワタシは大嫌いだ。京都人の一番イヤな処がよく出ている。 大嫌いだけれども、言っている事&行動は仰る通りです。 流石この人、物作りのとても大切な部分を解っていらっしゃる。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
なぜトヨタより先に決断できたのか ― 日本電産社長 永守重信 ■東京、地方、海外がそれぞれ100泊ずつ 世界経済に大嵐が吹いている。そのなかで経営の舵取りをしていくには、何をおいても気力の充実が必要だ。そして気力を支えるのは体力である。私は以前から、気力・体力を維持するために次のような規則正しい生活を心がけている。まずはその習慣を披露しよう。 毎朝5時50分に起床し、誰よりも早く6時50分に出社する。仕事に入ってからは、バイオリズムにあわせて時間帯ごとに仕事の中身を決めている。 午前中は頭脳の働きが冴えるので、稟議書などの書類を読み込んだり、難しい文書を作成したりという仕事に充てる。集中力が落ちてくる午後には、人と会って刺激を受ける。それが4時半まで。5時すぎになると再び集中力が高まってくるので、またデスクワークに専念する。 退社時間は、20代のころは夜12時と決めていたが、30代になってからは11時、40代は10時と1時間ずつ早めるように努力し、60代のいまは8時に切り上げている。 ウイークデー以上に集中力を発揮できるのは休日だ。土曜日は役員会の日と決めているので、電話も来客もない日曜日はとくに貴重である。長時間かけて、社内報や講演などの原稿を書く。 仕事を離れても無駄なことは一切しない。経営に集中するため45歳で酒はやめたし、ゴルフや囲碁など時間のかかる趣味もあえて遠ざけている。その代わり、健康維持のために週4万5000歩以上を必ず歩く。 そして、目覚めたらすぐ「フル稼働」できるよう夜12時から12時半には床に就き、熟睡する――。 断っておくが、これは京都本社にいるときだけの習慣ではない。日本、いや世界中どこにいても実践していることだ。 年間の宿泊数を大雑把に数え上げてみると、京都の自宅がわずか60泊に対し、東京、地方、海外がそれぞれ100泊ずつ、合計300泊にのぼっている。外泊が続けば体調を崩すことにもなりかねない。だからこそ私は、自らに規則正しい生活を課すことで、気力・体力の充実を図っているのである。 そこで核心に入ろう。 2008年12月19日。私は日本電産の減益予想を発表した。昨秋からの猛烈な需要減少にさらされ、従来予想の達成は困難だと判断したからだ。世間からは「強い会社」と思われているだけに、このニュースはテレビ番組などで大きく取り上げられた。 わずか3日後の22日、今度は世界中を震撼させる大ニュースが発生した。あのトヨタ自動車が赤字になる見通しだというのだ。その後は自動車・電機など主要産業で赤字発表が相次いだ。 「トヨタ・ショック」以後、経営者のほとんどは「永守さん、今回ばかりは経営者の責任と違います。トヨタが赤字ではしょうがない」と、言い訳を口にするようになった。一般社員にも同じ意識が生まれていたのは間違いない。 だが、会社が赤字でいいわけはない。資金潤沢なトヨタなら持ちこたえられようが、他の会社にそんな余裕があるのだろうか。私はこれまで「赤字は罪悪」と公言してきたが、今回の不況で赤字はさらに深刻な意味を持ち始めた。「倒産の引き金」と断言していいと思う。実際、昨年の大型倒産のなかには、決算は黒字でもキャッシュフローが赤字になり、資金繰りがつかずに破綻した実例がある。 赤字に落ちるか黒字にとどまるかが、企業の生死を分ける分水嶺になった。だから私は「従来予想を下方修正し減益になるが、黒字は確保する」ということを、いちはやく公表したのである。 効果的に伝えるにはタイミングも大事だ。実は私なりに「トヨタは赤字になる」という感触を持っていた。そのニュースに接して、当社の従業員を含め世間がどう反応するかも簡単に予測できた。だったら、それより先に日本電産の減益予想を発表しなければならない。 当初、トヨタと同じ22日に会見場を予約していたのだが、急遽キャンセルさせて3日前に会場を確保した。どうしても「トヨタより先に」発表しなければならない。そう判断したからだ。費用はかさんだが仕方がない。経営にはこうした「先読み」と、ときには時間をカネで買うような決断が不可欠なのだ。 その判断は奏功した。従業員が私たち経営陣と危機意識を共有してくれるようになったのだ。
減益発表に次いで私は別の「先読み」も行った。「賃金の一時0~5%カット」である。このことを正月早々に発表すると、今度もまた大ニュースとして各メディアをにぎわせた。 ただし「賃金カット」には、こんな条件がついている。「正社員の雇用は間違いなく保証し、今回の賃下げ分は業績回復時のボーナスで補填する」。 当社の発表後、今度は電機大手などが正社員の人員整理を次々に発表した。たしかに人減らしをして固定費を削れば短期的には回復も早まるだろう。だが、一度「首切り」をすれば従業員の心に傷が残る。次の好況期、会社に対する求心力がどれだけ働くだろうか。 自慢ではないが、貧しい農家で育っただけに、私は社員の誰よりも人の苦しみを知っている。一般の従業員がどれだけ解雇を心配しているかもよくわかる。だから、そんな恐ろしいことを私は絶対にしない。堀を埋められ城壁を壊されても雇用だけは守り抜く。当社にとって「雇用は天守閣」なのである。 何があっても必ず守るものがある一方、臨機応変に対応するものもある。たとえば「2010年に売上高1兆円」としてきた計画は、いったん凍結する。昨年末、大型M&A案件を2件続けて断念したが、もし強引に買収していれば「1兆円」は実現しただろう。 「八合目まで来たのに諦めるのか?」と問う人がいた。私はこう答えた。 「たしかに頂上は見えている。しかし嵐が来て暗雲が垂れ込めている。いま登ったら死ぬ。だから七合目まで下りて、体力を整えてからもう1回チャレンジするのが正しいと思う」 いまは平時の計画に固執するような時期ではないのである。 この不況は、回復までに最低でも1年はかかる。元の売り上げレベルに戻るのはおそらく2~3年後だ。しかしそのときには、まったく違う景色が現れる。緑の山が紅葉に変わるのではなく、山だったところに海ができるような変化である。 まず売り上げが半減する。しかし同じ商品が半分だけ売れるのではなく、同性能の商品を半額で売る努力が必要だ。ついていけない企業は倒産したり、再編の対象になったりするだろう。結果、生き残った企業は、次の景気回復期にはライバル数が激減したなかで、急増する需要を引き受けることになるはずだ。 生き残るための大前提は、生産性を上げること。いまの日本企業は「残業体質」に陥っている。生産性の低い人ほど長時間残業しているので収入が多い、というのはおかしな話である。フランスの会社(ヴァレオ)を買収してみて驚いたことがある。5時すぎに会社を訪ねると従業員はみんな退社していた。彼らは「時間」ではなく「成果」で評価される。だから定時に帰り、家族で夕食をとったあと、持ち越した仕事があれば自分の部屋で片付けるという。 私は欧米流の経営よりも終身雇用・年功賃金の日本的経営のほうが優れていると思うが、こと生産性に関しては、彼らのやり方を参考にしてもいいのではないだろうか。 PR |
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