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2008 12,07 10:35 |
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来週の外為市場:ドルは90円割れが視野に 来週の外為市場では、米自動車大手3社向けの緊急融資をめぐる不透明感や、米景況感のさらなる悪化を受けた連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待の高まりなどから、ドルは下値を模索する展開となりそうだ。 市場はこれまで、米財務省/FRBが矢継ぎ早に講じた非伝統的な金融危機対策が、米国株に反発の機会を与えたことを評価してきたが、これらの対策でバランスシートが膨張かつ劣化したFRBに対して、中央銀行としての信頼性(クレディビリティー)が損なわれると市場が判断すれば、90円割れを試す展開もあり得るという。 予想レンジはドル/円が87―94円、
「米長期金利の過去最低水準への下落や、ドル/円の下落など、市場では悪い雇用統計を織り込んでいるようだ。予想通りであれば、ドルが一時的に93円半ばに切り返すことも考えられる」とロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のヘッドオブFXストラテジー、山本雅文氏は言う。 8日には、コーンFRB副議長の発言が予定されており、16日の米公開市場委員会(FOMC)を控えて、バーナンキFRB議長発言に続いて量的緩和の具体的な方法について示唆があるかが注目されそうだ。 ユーロ圏では9日にドイツZEW指数が発表され、期待指数、現況指数ともに景況感悪化が予想されているが、欧州中央銀行(ECB)政策理事会を終えた後だけに、市場の反応は限定的なものとなるだろう。
12月8日の週は、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、重要指標の発表も比較的に少ないため、米自動車メーカー3社から総額340億ドルの支援要請を検討するための米議会公聴会での議論に関心が集まるだろう。 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは4日、両社が2009年まで存続するため必要とする米政府による緊急支援の条件として政府が義務付けるのであれば、合併を検討する可能性があると表明した。 「支援規模が大きければ財政赤字拡大につながるうえ、他業界の支援をどうするかという流れになるだろう。ビッグ・スリーを破たんさせた場合は、実体経済はもとより、社債市場も混乱を来たすことになる。為替市場では、リスクを取りづらい環境が続き、円高要因となる」とRBSの山本氏は言う。 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は4日、米ゼネラル・モーターズ(GM)をCCCプラスからCCに格下げした。見通しはネガティブとしている。 S&Pのアナリスト、ロバート・シュルツ氏は「GMは一部あるいは全ての既発債を、相当に割引した価格でのエクィティあるいは新規債券との交換を提示する可能性が最も高い」と指摘。その上で「GMの流動性低下を踏まえると、このような提示は投げ売りのような交換で、デフォルトに等しいと考える」と述べた。 このような提示があった場合、企業格付けは「SD(選択的デフォルト)」とし、発行体格付けは「D」となる見通しという。
年末までを見通すと、LIBOR(ロンドン銀行間取引レート)などにみられる年末に向けた金融機関の資金繰り状況や、株価の動向が注目されるが、FRBのクレディビリティー問題に着目する声もある。 オバマ次期米大統領と議会は、リセッション脱却に向けて、最大5000億ドルの資金の投入を準備しているが、バーナンキFRB議長は、金利上昇を抑制するひとつの方法として国債を購入する用意があると述べた。 さらに、危機対策の一環として、FRBは政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)発行の債券や、2社が保証する住宅ローン担保証券(MBS)を購入することを決め、5日から政府系住宅金融機関(GSE)の債券を対象に買い切りオペを開始する。 市場では、GSEの債券やMBSにまで手を伸ばすFRBの資産の健全性を懸念する声も出ている。 「激しく、大規模に非伝統的な手段に打って出るというFRBの壮大な歴史的実験は、いずれはドルの負担になるだろう」と東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は指摘する。 米国はドルの流動性不安を解消するべく大量のドルを市場に供給し、金融緩和を継続しており、需給面からは見て、ドル安の要素は十分過ぎるほどある。 ただこれまでは、「ドルのばら撒きペースと、ドルのリパトリ(買い戻し)ペースの歩調が合ったこともあり、ドルは急落せずに済んできたが、今後は、不良資産を大量に抱え込み、自己資本比率も急速に悪化しているFRBに対するクレディビリティー問題が市場で意識されれば、ドルの下落時期が早まるかもしれない」と斎藤氏は言い、年内にもドルの顕著な下落が始まる可能性があると言う。
このところ米金利は、景況感の悪化に加え、世界同時金融緩和や、FRBによる米国債買い入れ見通しなどから、過去最低水準を更新し続けている。 しかし、過去数週間のドル/円相場の下落は、同期間の日米長期金利差の急激な縮小に比べて小幅に留まっており、ドル/円は金利面から一段と下落する余地があると指摘する参加者もいる。 「FF金利先物は依然としてFRBによるゼロ金利政策を完全には織り込んでいないため、米経済指標の弱い結果などをうけてFRBの利下げ期待がさらに高まり、ドルは早晩、10月24日につけた安値(90.87円)を更新し、90円割れを試す展開となる可能性が高いとみる」とJPモルガン・チェース銀行のチーフFXストラテジスト佐々木融氏は言う。 PR |
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