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2008 11,08 12:00 |
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パナソニック<6752.T>が環境事業を加速、三洋電<6764.T>買収で パナソニック(6752.T)(旧社名:松下電器産業)は三洋電機(6764.T)買収を通じて、太陽電池やリチウムイオン電池といった環境製品事業を強化する。いずれも、持続的なエネルギー供給や地球温暖化問題の解決に向け高い市場成長が期待されると同時に、大量生産と製品価格の大幅な低下が求められる分野だ。パナソニックの創業者である故松下幸之助氏は、製品を安価かつ大量に供給する「水道哲学」を提唱。三洋買収により、パナソニックは21世紀型の水道哲学に道筋をつけたとも言える。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
水道哲学は、幸之助氏が「生産者の使命は、貴重なる生活物資を水道の水のごとく無尽蔵たらしめること」と説いたことに由来する。幸之助氏はこの哲学を1932年(昭和7年)5月、大阪市内で開いた会合で社員に伝えた。ちなみに、この会合で司会進行役を務めていたのが、幸之助氏の義弟で、松下電器専務を経て戦後に三洋電機を創業した故井植歳男氏だった。 パナソニックは10月1日に社名を変更したが、水道哲学は「現在でも当社の経営理念を構成する要素」(パナソニック関係者)という。ただ、水道哲学は、単なる経営理念にとどまらず、現在でもパナソニックの競争力の源泉とみる向きがいる。例えば薄型テレビ。ライバルのソニー(6758.T)など国内の多くのが赤字で、近年、継続して利益を出してきたのはパナソニックとシャープ<6764.T>だけだ。ある国内証券系アナリストは、「パナソニックの場合、水道哲学に基づく大量生産によるコスト引き下げで、最終的に勝ち残ればよいという割り切りがある」と指摘する。 最近でも、プラズマパネルについて、パイオニア(6773.T)が自社生産を断念し、日立製作所(6501.T)は生産工程の大幅縮小を決め、それぞれパナソニックからの調達に切り替えるなど、同分野におけるパナソニックの存在感が目立つ。パイオニア、日立はともに画質など技術面での評判が高かったが、最後にものを言ったのが、パイオニアや日立とはけた違いのパナソニックの生産量だった。
三洋は、経営危機に陥った2006年3月、三井住友銀行など金融3社に総額3000億円の優先株を発行。財務的な破たんは回避したが、経営の独立性を失った。ただ、地球温暖化問題への世界的な危機意識の高まりと、空前の原油価格高騰に伴い、三洋が得意とする太陽電池やリチウムイオンなど二次電池が将来大きな収益事業に化けるのではとの思惑が膨らんだ。 三洋が手掛ける「HIT太陽電池」は独自の構造を持ち、太陽光を電気に変える変換効率が業界トップを誇る。また、携帯電話やパソコンの電源として使われるリチウムイオン電池で三洋は世界シェアトップ。今後は環境対応型のハイブリッド自動車や電気自動車への搭載が期待されている。三洋は、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)とハイブリッド車用リチウムイオン電池の共同開発すると発表するなど、自動車分野での取り組みも先行している。三洋関係者は「省エネ、電気を貯める『蓄エネ』、電気をつくる『創エネ』の3分野の事業を持っているのは当社だけ」と「宝の山」であることを強調する。 いずれ三洋への出資金を回収する金融3社の動きを見通して、どこが三洋を手に入れるかに関心が高まっていたが、パナソニックは当初から有力候補とみられていた。パナソニックは、省エネ技術は高く、蓄エネの二次電池も強いが、太陽電池は開発を進めていた時期はあったものの、「採算性の問題」(関係者)により事実上撤退。経営目標に、売上高、株主資本利益率と同等に事業活動から出る二酸化炭素の排出削減量を挙げるほど環境対応にこだわるパナソニックとしては、太陽電池事業は「事業内容に加えたい分野」(幹部)であった。 太陽電池分野では、三洋は変換効率など技術面では高い水準にあるが、世界市場のシェア(生産量)は2005年の4位から2007年には8位(野村証券金融経済研究所調べ)に落としている。ハイテク分野の調査・コンサルティングを行うジェイスター(東京都中央区)の豊崎禎久社長は、10月中旬、ロイターの取材に対し、「2013年ごろには日本の太陽電池メーカーはトップ10からはじき出される」と厳しい予想を示した。 野村証券によると、07年の世界市場シェアでは三洋のほか、シャープ(6753.T)(2位)と京セラ(6971.T)(4位)がトップ10に顔を出している。豊崎氏は、パナソニック・三洋連合の太陽電池市場における位置取りについて、「パナソニックの資金力とグローバルの展開を考えていくと、(他の日本メーカーに比べ)トップ10にとどまる可能性は高いと思う」と指摘する。パナソニックは国内で住宅事業を手掛けていることも太陽電池拡販で強みとなりそうだ。 リチウムイオン電池など二次電池市場でもパナソニックと三洋は強力な組み合わせとなる。自動車向け二次電池開発では、パナソニックはトヨタ自動車(7203.T)と協業し、共同出資会社を運営。独フォルクスワーゲンと組む三洋を傘下に収めることで、規模の拡大によって価格交渉力が強化される。モバイル機器用などの二次電池でトップシェアの三洋に対する評価や、その技術力もパナソニックの手中に入る。みずほ証券の桂竜輔シニアアナリストは「(顧客からの)信頼が高まる」と、製品力の向上を指摘している。パナソニックの大坪文雄社長は7日の会見で、自動車用二次電池について「爆発的に伸びる」と語り、三洋買収の最大の狙いであることをにじませた。 リチウムイオン電池は、太陽光発電や風力発電など自然エネルギーを普及拡大させていく際にも、有望な装置と期待されている。天候任せの自然エネルギーは、蓄電装置と組み合わせることで、発展途上国で多く残る無電化地域でも送電網の大規模なインフラ投資なしに電力の供給が可能になる。また、電力インフラが整備された日本では、それ自体では出力が安定しない自然エネルギーの発電能力が一定規模を超えた場合、送電網の安定運用に支障を来たすと電力業界などが懸念を示すが、蓄電装置と組み合わせることで悪影響が回避できるとされる。 太陽電池や環境対応型自動車向けの二次電池、自然エネルギーを補完する蓄電装置などの需要の本当の姿を知るには、現実には数十年規模の時間軸でみる必要があるが、潜在力は極めて大きいと言え、パナソニックはそこに成長戦略を託したと言える。パナソニックが将来の果実を確実に得るためにも、統合後の重複分野の整理など当面の課題にどう対応するかが重要となりそうだ。 PR |
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