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2008 02,23 12:00 |
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90年代日本と似る米信用危機 ABNアムロ、ロバート・リンド氏 日経ヴェリタス 2008/2/22 米国の景気は2007年末に急減速し、今年はリセッション(景気後退)に陥るかもしれないとの懸念が高まっている。市場関係者の中には、米国の景気低迷は長期間に及ぶ可能性があると指摘する向きもある。米国が現在抱えている問題と1990年代に日本が陥った債務デフレには驚くほど似通った点がある。筆者はそうした類似点を認めると同時に、重要な相違点のあることも述べたい。最も重要な違いは、米国の政策当局は1920~30年代に世界大恐慌を引き起こした政策の失敗を学んでいることである。彼らは当時の状況の再現を避けようと決心している。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
筆者は90年代に日本がデフレに突入した3つのきっかけを指摘したい。 ひとたび日本がデフレに突入すると、消費を喚起するための政策は非常に効果が表れにくくなった。決定的だったのは、長期的な収入の伸びに対する民間セクターの期待が悪化し始めたことだ。家計および企業は物価の下落が持続すると考えたので、実質金利は消費回復を促進するには高すぎた。円が大幅下落すれば、1つの解決策になったかもしれない。円安が輸入物価とインフレ期待を押し上げたかもしれないからだ。しかし90年代には円高が持続し、問題を複雑にした。さらに、デフレが厳しさを増すとともに、日本の銀行システムはとどまることのない損失と不良債権の増大にのたうった。 90年代に日本が経験したことと、現在米国が抱えている問題には2つの明確な類似点がある。第1に、米国では住宅価格が急速に下落している。2年前、筆者は米国の住宅価格は賃借料よりも15%高いと推定していた。こうした過大評価を正すには価格の下落が不可欠だが、今後1年間に名目価格は10%しか下がらず、深刻な価格暴落はないとみている。第2に、米国の銀行システムも、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きによる巨額の損失により、深刻な破綻の危機に直面している。こうした事実上の信用危機により、家計および企業の財務状況は厳しいものとなっている。 こうした問題を正しくとらえることが重要だ。筆者は資産価格の暴落が続くとは考えていない。さらに、米国の銀行システムはさらなる損失を認めて評価損を計上するが、資本増強にも手をつけ始めるとみている。結局、このプロセスは比較的速やかに進み、銀行は通常の貸出業務に復帰することができると考えている。 こうした見通しの基礎には重要な要因がある。米政策当局はできるかぎり速やかに景気を回復させる決意でいると筆者は信じている。この数カ月の間に、政府は景気刺激策を発表しているが、これが景気回復に寄与するだろう。さらに重要なのは、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利の大胆な引き下げを実施したことだ。FRBが先制的な金融緩和を実施したのには十分な理由がある。90年代には、ほとんどの中央銀行はテーラールールにのっとって金融政策を実施した。つまり、政策当局は景気が減速したとき、あるいはインフレ率が低下したときに金利を引き下げた。 最近、FRB高官はこのように主張する。すなわち、政策当局は、もし資産価格の下落が経済に悪影響を与えると思われるときには、果敢に予防的措置を講じなければならない、と。FRB議長のベン・バーナンキ氏は、資産価格と実経済の間で悪循環が起きる可能性があると警告した。資産価格が景気減速を予期して下落すれば、総需要が減退し、それが資産価格のさらなる下落を招く。特に、FRBは08年初頭の株価急落を目の当たりにして、住宅および銀行問題が経済全体に波及する恐れがあると考えたのであろう。 結論ははっきりしている。FRBは、金融市場にストレスの兆候が表れていないか目を凝らしており、経済指標や統計にはあまり注意を払っていない。FRBには、政策の効果を測るものとして、2つの具体的な目標があるとみる。第1には、イールドカーブ(利回り曲線)の傾斜が増すことを望んでいるのだ。1月下旬に実施した大胆な利下げがイールドカーブの傾斜を高めるのに寄与した。これが銀行の自己資金増強を可能にし、景気回復期待を高めるのにも寄与するだろう。第2に、FRBは株価の下落を止めたいと考えている。もし株価が大きく下落すれば、民間部門のバランスシートはさらに傷つき、景気低迷が長引く恐れが高まるからだ。 PR |
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