2/6 朝の『株価材料』PART Ⅲ

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■株価材料

△東大と慶大、抗血栓治療器具の被覆をＤＬＣ使い実用化へ
東京大学医学部の高橋孝喜教授と慶応義塾大学理工学部の鈴木哲也教授らのチームは、工具や自動車部品などの表面処理に使われるダイヤモンド・ライク・カーボン（ＤＬＣ）被膜技術の医療分野での実用化にめどをつけた。鈴木教授が抗血栓治療器具への均一な被覆技術を開発。国内特許を活用した同器具の製品化事例はほとんどない。実現すれば国内の医工連携（用語参照）による再生医療用器具の開発に道筋がつくと期待される。
高橋教授が９月をめどにデータをまとめ、川澄化学工業<7703>とクリニカル・サプライ（岐阜県各務原市、中宗之社長）が製品化する予定。プロジェクトは、０３年に東大医学部と慶大理工学部が研究を開始。鈴木教授がガイドワイヤなどにプラズマ化学気相成長（ＣＶＤ）で０・１マイクロメートル（マイクロは１００万分の１）のＤＬＣ被覆に成功。新素材の含有で柔軟性や抗血栓性も付与した。今後は高橋教授ら東大医学部が抗血栓性の評価や、副作用などをみる動物の生体実験に移る。心筋梗塞などの抗血栓治療で、血管内に挿入してカテーテルなどを導くガイドワイヤは、すべりが悪いと血管内壁を破る危険性がある。摺動（しゅう）性の高いＤＬＣの被覆で屈曲部の多い血管内の移動を円滑にすれば、施術の確実性を高められる。血管内へ定置して薬剤を放出するステントも、網状円筒内への被膜が困難とされるが、これも独自の製法で開発を進めている。ＤＬＣはダイヤモンドに似た炭素薄膜材料。摩耗しにくく、高い潤滑特性を持ち、工業分野を中心に幅広く使われる。国内の医療用器具は、海外の公開特許をもとに国内メーカーが製品化する事例が大半。抗血栓治療器具は９割が海外の技術に依存し、製品管理上も純国産の必要性が叫ばれている。鈴木教授らのチームは、ＤＬＣの活用が見込める血管再生医療器具の世界市場規模は約８７００億円と予測している。ＤＬＣの新たな市場を生み出す可能性も高い。

△昨年の建機出荷、１６％増の２兆５８１６億円－２年連続で過去最高
日本建設機械工業会がまとめた０７年（１―１２月）の建設機械総出荷（国内出荷と輸出の合計）は前年比１６・２％増の２兆５８１６億３０００万円となり、２年連続で過去最高となった。北米向けはサブプライムローン（信用度の低い個人向け住宅融資）問題の影響で同２７・１％減少したものの、国内、中国、欧州などが好調さを持続。建機の世界需要に占める北米の影響度が薄れていることを、あらためて印象づけた。国内の０７年累計は同７・９％増の８９３４億６０００万円、輸出は同２１・２％増の１兆６８８１億７０００万円だった。地域別は独立国家共同体（ＣＩＳ）が同９６・３％増、中国が同３２・８％増、アジア（中国を除く）が同６０・８％増、欧州が同４１・８％増と大きく成長した。０７年１２月の建機出荷額は前年同月比１３・９％増の２２９０億４６００万円となり６３カ月連続で増加。

△日立建機<6305>、海外メーカーの選別機事業を買収
日立建機は５月にも、海外メーカーの自走式スクリーン（選別機）事業を買収する方針を固めた。買収金額は５億円前後。大型機種のＯＥＭ（相手先ブランド）調達先である欧米やカナダの大手メーカー数社を軸に条件調整に入った。選別機などリサイクル機械の本場である欧米メーカーの技術やブランドなど取り入れ、アジアと豪州市場に参入する。日立建機は自走式選別機の小型２機種を、自社で開発し販売している。大型はカナダのプレミアテック、木材破砕機を米パターソン・パシフィック、破砕機をフィンランドのメッツォミネラルからそれぞれＯＥＭ（相手先ブランド）調達している。選別機事業の買収先候補は、ＯＥＭメーカー３社に絞られた模様。日立建機は世界的な鉱山開発の増加を背景に、鉱石などを選別するリサイクル機械需要が高まると判断。

△牧野フライス<6135>、インドの営業拠点を１７拠点体制に拡充
牧野フライス製作所は０９年度末までに、インドの営業拠点を現在の３倍近い１７拠点に拡充する。インドの自動車産業の成長に伴う工作機械の需要増に対応する。同社はインドを海外事業成長の原動力に位置づけており、積極的な販路開拓に打って出る。日本の工作機械メーカーで圧倒的な拠点網を築き、インドでの事業基盤を一気に固める。現在、牧野フライスのインド拠点は６カ所。ベンガルールには工作機械の工場がある。同工場とデリー、プネにはテクニカルセンターがあり、ムンバイ、チェンナイなどに販売・サービス拠点がある。０８年度はコインバートルなどに新設し、１３拠点とする。０９年度には１７拠点体制としてインド国内の産業集積地をほぼ全域網羅する。牧野フライスはインド向けにマニシングセンター（ＭＣ）の輸出が好調。ベンガルールの工場では汎用ＭＣを生産し、現地の自動車や２輪メーカーに供給している。

△昨年の産ロボ出荷額、５．３％増の５８５０億６０００万円
日本ロボット工業会がまとめた０７年（１―１２月）の産業用ロボット出荷実績は、５８５０億６０００万円（前年比５・３％増）、生産額は５７４７億７２００万円（同４・２％増）で過去最高となった。自動車業界向けの溶接ロボットが輸出で大きく伸長したほか、出荷額が大きい電子部品実装機も輸出が堅調。半導体ウエハー搬送ロボットは国内外で出荷が回復した。国内向け出荷のうち自動車業界向け出荷は７８５億９１００万円で、前年比０・３％減の微減。アーク、スポットの溶接ロボットが落ち込んだものの、塗装ロボットが急増した。電機業界向けは電子部品実装機が減少したが、半導体搬送ロボットは前年比で倍増した。輸出向け出荷は電子部品実装機の輸出は同４・６％増と堅調。溶接ロボットの輸出が、自動車業界の海外拠点展開にともなって伸びており、アーク溶接が同２５・８％増、スポット溶接は３４・６％増と大きく伸ばした。

△電機大手９社の４―１２月業績、７社が増収・営業増益
電機大手９社の０７年度第３四半期（４―１２月）は、海外市場での成長がけん引するかたちで７社が増収、営業増益と好調だった。
だが、サブプライムローン（信用度の低い個人向け住宅融資）問題や株価下落、為替変動など世界経済が変調をきたしており、「第４四半期は波乱含み」（佐藤行弘三菱電機<6503>執行役副社長）との見方もある。好業績でも通期見通しは据え置くなど、電機各社は慎重になっている。
日立製作所<6501>は電力・産業システムが堅調、情報通信システム部門の利益率も向上し増収、営業増益だった。ただ、デジタルメディア・民生機器部門は６８５億円の営業赤字。ハードディスク駆動装置は赤字が残ったが、足元は黒字化しており業績改善のめどをつけた。０８年３月期見込みは営業利益を１００億円上積みしたが、薄型テレビ事業の構造改革費用などの計上で当期純利益を３００億円下方修正した。

△日立<6501>、プラズマＴＶで松下<6752>と協業拡大
日立製作所はプラズマテレビ事業で松下電器産業との協業を拡大する。商品企画や開発、調達、生産面で協力し、製造原価を低減する。両社は１０３型、８５型の大型パネル相互供給に合意済みで、今後は協業分野を増やす。松下との協業のほか、薄型テレビ事業の国内外の人員を他部門に再配置、販売ルートを絞り込むなどで構造改革費用３００億円を０７年度に計上する。米国で高級専門店などとの取引を拡大、国内は系列店の活用や業務用の販売に力を入れる。製品戦略では、壁にも設置可能で無線通信機能を搭載した超薄型プラズマテレビを０９年にも投入する計画。プラズマパネルの外販を増やし、生産ラインの稼働率も高める。

△松下<6752>、ベトナムで現地向け液晶テレビ生産
松下電器産業は０８年度第１四半期（４―６月）に、ベトナムで現地向け液晶テレビの生産を始める。ブラウン管（ＣＲＴ）テレビを生産しているベトナム工場（ホーチミン）の一部を液晶テレビの組み立てに活用する。初年度は５万台の生産を見込み、０９年度には生産規模を２倍に引き上げる。ベトナムで生産するのは３２型と３７型の液晶テレビ。現地の富裕層向けに販売する。ベトナム工場のテレビ生産ラインの一部を、一人の作業者が複数の工程を担当するセル生産方式に変える。ベトナムではまだＣＲＴテレビが主流で、薄型テレビの比率は０７年度には８％程度しかないという。現地生産によってコスト競争力を強化し、ベトナムの薄型テレビ需要を掘り起こす。プラズマテレビを含めた３７型以上の大画面薄型テレビの拡販にもつなげる。

△トヨタ車体<7221>、愛知・吉原工場の能力増強－一部ラインを２直化
トヨタ車体は０８年半ばまでに、吉原工場（愛知県豊田市）などで生産能力を増強する。中国や中近東を中心に、トヨタ自動車の商用車「ハイエース」や「コースター」、スポーツ多目的車（ＳＵＶ）「ランドクルーザー」などが販売好調なため。生産ラインの改造や２直化などで対応する。０８年の生産台数は前年比５万台増の７８万台となる見通し。新興国や資源国で人気が高い車種の生産体制を整え、トヨタの世界戦略を支える。吉原工場では、ランドクルーザーとコースターの生産能力を増強する。０８年の生産台数は０７年比約１万５０００台増の１６万台となる見込み。既存ラインでのロボットや搬送設備の増設などで、生産能力を高める。投資額は１０億円程度。また１直だった一部ラインを２直化し、生産台数を引き上げる計画。

△タチエス<7239>、日産<7201>「デュアリス」向けシートを増産－福岡の工場増強
タチエスは、日産自動車が国内生産を始めるスポーツ多目的車（ＳＵＶ）「デュアリス」用のシート（座席）を受注、米ジョンソン・コントロールズ（ＪＣＩ）との共同出資会社である錦陵工業（福岡県みやこ町）で生産する。このため錦陵工業は１億円強を投じ、デュアリス用のシート組み立てラインを新設、シート全体を２０％程度増産する。タチエスは提携先との連携を強化し、世界戦略車への円滑なシート供給体制を構築する。日産のデュアリスは、０８年に九州工場（福岡県苅田町）で生産を始める。タチエスは日産向けのシート生産では米リアと提携し、米英で合弁工場を展開。リアが５１％、タチエスが４９％出資する英国工場は０６年末から日産の「キャシュカイ」（日本名デュアリス）用シートを生産している。今回、英工場から錦陵工業へ技術を移管するため「新規投資は組み立てラインなど一部で済む」（樽見耕作タチエス社長）。

△住友電工<5802>、水処理事業に本格参入－生産能力４倍に
住友電気工業は０８年度をめどに水処理事業に本格参入する。オゾン水生成用に開発した四フッ化エチレン樹脂（ＰＴＦＥ）製の膜モジュールを汚水処理に応用する。韓国の下水処理場で本格採用が決定したのを機に、生産能力を０８年度末に４倍に増強する。沈殿や砂濾過など従来手法に変わる濾過機構として、国内外の浄水場や工場で採用を狙う。水処理用膜モジュールの素材は二フッ化樹脂（ＰＶＤＦ）が主流。一方、住友電工の膜モジュールはＰＴＦＥ製で、ＰＶＤＦよりアルカリや酸に強く、最大使用温度も２００度Ｃと高い。高強度で、長期間使用できる。下水や産業排水処理用としては、試験運用を含め２０件程度の実績がある。今回、韓国の大宇エンジニアリングから中規模下水処理場向けに受注した。０８年度上期中に膜面積１０平方メートルの同モジュール３０００―４０００本を納入、住友電工にとって初めての本格受注となる。

△日立<6501>、６０ギガヘルツ帯ミリ波通信向けの安価なＣＭＯＳ発振器を開発
日立製作所は、家庭でハイビジョン映像など大容量の情報を無線伝送できる６０ギガヘルツ（ギガは１０億）帯のミリ波通信に使う、安価な相補型金属酸化膜半導体（ＣＭＯＳ）を使った発振器を開発した。信号雑音を抑える新技術を導入、２８ギガヘルツの発振周波数で最高レベルの低雑音性能を実現した。この共振器に周波数を２倍に変換する逓倍器をつなげば、６０ギガヘルツ帯向けのシステムに使える。米国で開催中の国際固体素子回路会議「ＩＳＳＣＣ」で６日（現地）に発表する。日立は無線通信の距離に影響する信号の雑音が、発振器を構成するトランジスタのゲート端子の電圧振幅に関係することを見いだした。このためゲート端子とドレイン端子の振幅を個々に制御し、信号の位相雑音を改善する回路を開発した。

△三菱マテ<5711>、筑波に１００億円で新工場－超硬工具を４割増産
三菱マテリアルは超硬工具の大幅な増産に踏み切る。刃先交換型チップの主要拠点である筑波製作所（茨城県常総市）に１００億円を投じて新工場棟を建設、０９年末に稼働する。これにより同製作所の生産能力を０６年度比で４０％向上させる。同社は当初、０９年度までに超硬工具の生産能力を同２０％引き上げる計画だったが、中国など新興国を中心に需要が急増し、増産計画を上方修正する。新しい工場棟は２階建てで、延べ床面積７０００平方メートル。筑波製作所全体で１５％拡張する。コーティングを施した刃先交換型チップ専用の生産棟とし、成形から検査までの工程を整流化し生産リードタイムを短縮する。投資額１００億円は、同社超硬製品事業部の単一の設備投資案件としては過去最大規模。同社の超硬工具は中国を中心に受注が急増。受注増に応じるため、０７―０９年度までの３年間で総計２２０億円の増産投資を実施する。

△宇部興産<4208>、１０月に中国・南通市の合成ゴム工場を前倒し稼働
宇部興産は、台湾企業などとともに中国南通市で建設を進める合成ゴム工場の稼働時期を当初計画の０９年初めから０８年秋に約３カ月前倒しすることを明らかにした。生産するのは、自動車用タイヤなどに使うポリブタジエンゴム（ＢＲ）で、アジアを中心に需要増が見込まれている。同工場は立ち上げ準備が順調に進んでいることから、稼働を早め、拡大する現地需要への対応を急ぐ。
同工場は宇部興産２５％、台湾の合成ゴムメーカーのＴＳＲＣ社５５％、丸紅<8002>２０％の出資比率で設立するもの。宇部の技術をベースにＢＲを生産、各社が出資比率に応じ製品を引き取る計画。宇部にとってはタイに続くＢＲの海外生産拠点だ。当初の予定では、０９年に年５万トンの能力で生産を開始し、２０１１年に同７万２０００トンに能力増強する計画だったが、１０月にも同５万トンの設備が稼働する見込み。

△戸田建<1860>、開発・海外事業を強化－首都圏の保有資産を活用
戸田建設は開発事業と海外事業を強化する。０８年度から社内の開発事業にかかわる部署を再編するとともに、海外事業もテコ入れする。同社は中期経営計画で０９年度に売上高４７００億円、経常利益１００億円の目標を掲げているが、国内の土木事業が公共事業縮減で先細りが避けられない中、開発と海外の両事業の収益を上げることで「土木事業の落ち込みを補てんしたい」（井上舜三社長）としている。戸田建設はオフィスビルの営業強化のため、０７年に建築営業統轄部にビルプロジェクト営業部を設置した。ここに社内の資産管理や開発事業を担当している部署を統合して「アセット事業部」とし、不動産を総括する部署とする方向で検討している。同社はゼネコンの中でも資産内容が良いとされており、保有する良質な資産を有効活用した開発事業を、首都圏を中心に進めていく。売り上げ規模が約１３０億円と準大手ゼネコンの中では弱いとされる海外事業も充実させる。

△日本ケミカルリサーチ<4552>、今年中に腎性貧血治療薬の国内販売承認を申請
日本ケミカルリサーチはキッセイ薬品工業<4547>と共同で開発中の透析患者向け腎性貧血治療薬について今年中に国内販売の承認を申請する。腎臓で作られる糖たんぱくの減少で貧血になりやすい透析患者に対し、赤血球を増加させるホルモンを補う働きを持つ。国内３社目の医薬品としての発売を予定している。薬の開発番号は「ＪＲ―０１３」。同社の独自技術により動物由来の血清を用いずに製造した原薬を使う点が特徴で、現在は第２相と第３相の臨床試験を同時に進めている。発売に合わせて、医薬情報担当者（ＭＲ）を現在の２３人から５０人に拡大する予定。新薬はキッセイ薬品工業と共同で透析センターなどを中心に展開していく。透析患者は年間で１万人ずつ増加している。
中外製薬<4519>やキリンホールディングスの子会社であるキリン<2503>ファーマ（東京都渋谷区）が既存品を発売しており、市場規模は約３００億円という。

△アサヒビール<2502>、商品企画の横断組織始動－都内大学とも提携
アサヒビールはビール類の新商品を社内横断的に検討する「クロスファンクションチーム」を本格始動した。商品企画をはじめ、技術や調査、営業など商品にかかわる部門の人材を一元的に集めてアイデアを出し合い、３―５年の中長期のスパンで商品を企画する。早ければ年内に発売する新商品に同チームの企画を反映させる考えだ。クロスファンクションチームは約２０人で構成。検討するテーマ・内容は非公表だが、年代や性別に合った商品や発泡酒、「第３のビール」の新商品など、四つのテーマを立ち上げ、各テーマ４―８人の編成で検討を進めている。顧客の嗜好性の分析に関しては都内の大学とも連携する。データマイニング（膨大なデータを解析して一定の法則や相関関係を導き出す手法）も活用し、消費者の好みの仮説と実証調査を繰り返すことで、売れる商品づくりの確度を高めていく考えだ。

△日ハム<2282>、国産最高級肉を使用したプレミアムギフト投入
日本ハムは今春にも国産で最高級の材料を使ったローストビーフとロースハムの２種をプレミアムギフトとして市場投入する。受注生産とし、数量限定の商品として展開する。価格はローストビーフが５万２５００円、ロースハムが２万１０００円。主に百貨店を通じて販売する。売り上げ計画は非公表。ローストビーフは高級品「いわて牛」の霜降りサーロインを原料とし、大きさは８００グラム。最高格付けの材料のため１頭で２０個しか作れないという。一方、ロースハムは北海道知床の豚肉を使用する。旭川工場（北海道旭川市）で１・５キログラムのハムに加工する。同社はプレミアムギフトの販売で、高級志向の消費者層の開拓を狙う。両製品とも安全性と品質維持のため、生産や加工などについては同社のグループ会社で一貫して手がける。

△三菱ＵＦＪ<8306>信託銀、ワークライフバランス制度の社内周知を本格化
三菱ＵＦＪ信託銀行はワークライフバランス（仕事と生活の調和）制度の社内周知を本格化させる。全社員向けに同制度のｅ―ラーニング研修を進めていくほか、制度の概要などをまとめたハンドブックを約８０００部作成し、全社員に配布する。同社では０６年１１月に育児・介護制度の拡充など１０項目を盛り込んだ「ワークライブバランス１０」制度を導入したが、社員への浸透度や利用が部分的にとどまっていることから、周知を徹底させることにした。三菱ＵＦＪ信託銀行が導入したワークライフバランス１０制度では、育児休業での２週間の有給化や産前の通院休暇の月１回有給化、一日３時間の短時間勤務、結婚・出産などによる退職者の再雇用、育児にかかる費用の月１万円補助など、１０項目にわたって具体的な育児・介護制度などが盛り込まれている。同社は７２年に、当時としては画期的な３年という長期間の育児休業制度を創設した。
（日刊工業新聞）

△インテージ<4326>の第３四半期は経常利益１３．６％増、記念配実施し期末配当４０円へ
インテージが５日引け後に発表した０８年３月期第３四半期連結決算は、売上高２３１億５８００万円（前年同期比８．４％増）、経常利益２２億１４００万円（同１３．６％増）、純利益１１億７６００万円（同４．５％増）と増収増益となった。セグメント別では、市場調査・コンサルティング事業は、売上高１５３億８９００万円（同１１．９％増）、営業利益１９億７３００万円（同２２．８％増）と好調だった。パネル調査分野は、競合社の小売店パネル調査事業が１０月末でサービス終了したことから、ＳＲＩ（全国小売店パネル調査）の売上が増加したほか、ｐｅｒｓｏｎａｌ　ｅｙｅ（個人消費者パネル調査）も拡大した。また、カスタムリサーチ分野は、インターネット調査の拡大に加え、連結子会社となったティー・エム　マーケティングが寄与した。システムソリューション事業は、特定の大型開発案件において採算が悪化し、売上高４３億５１００万円（同７．０％減）、営業損失１億１７００万円（前年同期は１００万円の利益）となった。メディカルソリューション事業は、売上高３４億１７００万円（同１６．４％増）、営業利益３億５３００万円（同６．２％減）だった。ＣＲＯ（医薬品開発業務受託機関）業務でデータマネジメント・解析業務が好調だったほか、モニタリング業務も堅調だったものの、ＳＭＯ（治験施設支援機関）業務で治験施設及び顧客の開拓が遅れたことで採算が悪化した。通期の連結業績予想は従来予想通り、売上高３３２億２７００万円（前期比７．９％増）、経常利益３２億６９００万円（同１２．５％増）、純利益１７億２７００万円（同６．２％増）と連続最高益更新の見通し。また、今期の期末配当については、東証２部上場記念配当を実施し、当初予想の普通配当３４円に記念配当６円を加え４０円（前期実績３０円）とすることも併せて発表している。なお、１月２２日の東証２部上場以降、ジャスダック市場との重複上場となっているが、株式売買の取引集約及び管理コストの軽減を図るため、２月５日にジャスダック証券取引所の上場廃止申請を行うこととした。
（証券日刊新聞）

□電機１１社　０７年４～１２月期連結　収益力回復も円高直撃　８社増益の一方で強気投資に影
電機大手１１社の２００７年４～１２月期連結決算が５日、出そろった。本業のもうけを示す営業利益は８社が増益となり、収益力の回復傾向が鮮明になった。一方で、円高の影響などにより通期業績見通しの下方修正も相次ぎ、昨年の年末商戦を業績浮揚の弾みにしたい各社の思惑が外れた格好だ。また、薄型テレビや半導体は価格下落が続き、強気一辺倒だった「勝ち組」企業の戦略にも影を落としている。かき入れ時となる昨年の年末商戦を反映した今回の決算では、懸案事業を好転させた企業が続出した。
ソニー<6758>はゲーム機「プレイステーション３」を中心としたゲーム事業を、
日立製作所<6501>はハードディスク駆動装置（ＨＤＤ）事業を、ともにほぼ２年ぶりに黒字転換。
ＮＥＣ<6701>も不振の半導体や携帯電話が利益に貢献し、「黒字体質が定着した」（小野隆男執行役常務）とみる。
松下電器産業<6752>や三菱電機<6503>も、それぞれ最終利益、営業利益で過去最高を更新した。
ただ、先行きには不透明感が漂う。米国のサブプライム（高金利型）住宅ローン問題が深刻化し、大手でも「世界規模の減速感を注視しなければならない」（富士通<6702>の小倉正道副社長）と慎重な見方を強めている。
円高による為替差損や株価下落による評価損の影響で、ソニーや日本ビクター<6792>などが０８年３月期の通期業績予想を下方修正。北京五輪に向けた需要拡大に期待していたが、出ばなをくじかれた。
また、社運をかけた薄型テレビや半導体などの主力事業では、猛烈な価格下落が続き、各社の業績に影を落とした。日立は通期業績予想の営業利益を上方修正したものの、最終利益は引き下げた。原因は不振の薄型テレビ事業の構造改革費として約３００億円を計上するためで、中村豊明専務は「価格下落が進み、販売台数は伸びても収益が出ない」と話す。
シャープ<6753>は北米を中心に海外で販売台数シェアを大きく伸ばしたとみられるが、収益面では苦戦。販売規模で劣るメーカーはより深刻で、
パイオニア<6773>は年間の販売台数目標を下方修正した。
半導体のフラッシュメモリーで世界首位を狙う東芝<6502>も、「価格下落が想定以上に進んだ」（村岡富美雄専務）ため、半導体部門が２年ぶりとなる低い利益水準となった。
薄型テレビや半導体事業は、価格下落に対抗できるコスト削減に向け、一層の販売規模の拡大が求められている。各社は需要拡大を見込んだ強気の投資姿勢をとってきたが、薄型テレビでは主要部品のパネル製造をめぐり、自社生産から撤退したり、メーカー同士の提携も相次いでおり、需要状況やライバル企業の投資動向をにらみながら、事業計画を慎重に見極めようとしている。

△インターアクション<7725>　バイオマス研究センター、大川家具会館と設置
デジタルカメラなどに搭載される電荷結合素子（ＣＣＤ）など電子部品の検査装置メーカー、インターアクション（横浜市金沢区）は、家具販売を手掛ける大川家具会館（福岡市大川市）と業務提携し、共同で「バイオマス研究センター」を設置した。インターアクションは昨年１２月に社内に「バイオマス研究室」を設立し、バイオマス関連事業を強化している。同センターを共同で設立することで、同関連事業を早期に収益の柱に育てる考えだ。バイオマス研究センターは、バイオマスエネルギーと太陽電池を活用したクリーンエネルギー開発を大川家具会館と共同で研究する。具体的には、家具の製造・加工後に発生する木材加工残渣（ざんさ）をバイオマス素材として活用し、同素材をバイオメタノールに効率よく加工できる技術を共同で研究する。バイオメタノールは、１０キロワット程度の小型発電機で発電し、太陽電池で発電した電気と組み合わせて大川家具会館で利用していく計画だ。

△経営再編へ子会社再編　トランスデジタル<9712>がウーマン・ジャパン譲渡
情報システムの開発、販売を手掛けるトランスデジタル（東京都千代田区）は、子会社の再編に乗り出した。メディア広告事業や電子商取引（ＥＣ）サービスの運営などを展開してきた子会社のウーマン・ジャパン（東京都港区）のを広告の企画・制作会社のデラックス（東京都港区）に譲渡した。トランスデジタルは２００６年３月期から２期連続で連結最終赤字を計上している。経営再建に向け事業再構築に乗り出しており、今回の子会社の売却はその一環。ウーマン・ジャパンは０５年３月にウェブサイト運営などネット関連事業の強化を目的にフォリアルホールディングス（ウーマン・ジャパンの前身）から買収した。しかし、運営サイトの広告スポンサー不足で収益が伸び悩み、０７年６月期には３億３９００万円の最終赤字を計上。早期に業績の大幅改善が見込めないと判断した。トランスデジタルは保有するウーマン・ジャパンの発行済み株式数の８９・０％にあたる６４６０株全株をデラックスに譲渡した譲渡金額は１０００万円。

△「美白」市場に潤い　化粧品各社が新商品　≪美容液やクリーム、５０代対象≫
体全体の肌を美しくするためにはお金を惜しまないという女性は少なくない。そうした期待に応えようと化粧品各社は、機能性が高いクリームや美容液に力を入れている。効果は、潤いや「美白」など。１万円前後の商品を特集した。カネボウ化粧品は、昨年秋に専門店向け新ブランド「華やぎ」を導入。第１弾として「アロマボディクリーム」（１５０グラム、１万５００円）を発売した。５０代が主な対象。この年代は子育てが一段落し、外出が増えるため美容への関心が再び高まるという。保湿成分の「月見草オイル」と「スクワラン」を配合。香りを楽しみながらマッサージすることで、健やかで潤いのある肌に整えるという。
資生堂<4911>は昨秋、「ベネフィーク・リニュー」シリーズの新商品を投入した。加齢により衰えがちな肌に対応。スキンケア（顔用）の「クリームｎ」（４０グラム、実勢１万５００円前後）は、独自技術でカスムナールエキスなど植物性成分を複合的に配合しみずみずしく、ふっくらとした肌に導く。マックスファクターは「ＳＫ－ＩＩ」ブランドの美容液「ボディホワイトニング」（２５０ミリリットル、９９７５円）。体の皮膚は顔に比べて角質層が厚く、血液循環もよくないという。そのため独自技術で浸透性を高め、日焼けによるシミなどを防ぐ美白有効成分を角質層の奥に届けるなどの特徴がある。シャンパンのような香りも心地よさそう。

△ＴＤＫ<6762>　ワンチップでデータ制御　小型化ＬＳＩを３月発売
ＴＤＫは、ＮＡＮＤ型フラッシュメモリーへのデータの書き込みや読み出しをワンチップで制御するコントローラーＬＳＩ「ＧＢＤｒｉｖｅｒ　ＲＳ１シリーズ」を３月に発売する。ハードディスク駆動装置（ＨＤＤ）のデータ転送方式であるＳＡＴＡ方式に対応。記憶媒体を、ＨＤＤの代替メモリーとして利用が拡大しているＮＡＮＤ型フラッシュメモリーに置き換えやすくした。従来のフラッシュコントローラーは、フラッシュメモリーの制御ＩＣに加え、ＳＡＴＡ変換用ＩＣも必要だったが、新製品はこれらをワンチップに収めて小型化した。さらに、書き込み中に電源が遮断した場合に、メモリー内のデータ破壊など巻き添えエラーを完全に阻止できるよう耐性も強化した。一度に制御できるデータ単位は４キロバイト。サンプル価格は１個２０００円。民生・産業向けの組み込み機器、ＩＴ機器向けに月産１０万個を計画している。

△川崎重工<7012>　建機用油圧機器を中国の工場で増産
川崎重工業は５日、中国で建設機械用油圧機器の生産を拡大すると発表した。油圧ポンプを１・６倍に増やすほか、油圧モーターと減速機の生産を新たに追加する。今年７月から順次生産を始める。中国は今夏の北京五輪や１０年の上海万博を控えインフラ整備が急ピッチに進んでおり、建機需要が拡大しているのに対応する。増産するのは、全額出資子会社カワサキプレシジョンマシナリが中国に設立した川崎精密機械（江蘇省蘇州市）。既存工場に隣接する工場建屋を賃借し、約５億円を投じて機械設備を導入する。１０年度内に油圧ポンプの生産を月産１０００台から１６００台に拡大するほか、油圧モーターを１０００台規模で量産する。

△ＮＥＣ<6701>の基地局間通信システム　ギリシャで初の受注
ＮＥＣは５日、携帯電話の基地局間を結ぶ無線通信システム「パソリンク」を、ギリシャの通信事業者であるテラス社（本社・アテネ）から２４０システム受注したと発表した。工事、アフターサービスを含む一貫供給契約。ギリシャでのパソリンク受注は初めて。パソリンクは通信需要が増えてもハードウエアを追加することなく、ソフトウエアのアップグレードだけで対応できるのが特徴。短納期、低価格を武器に販売を伸ばしており、ＮＥＣの基地局間の通信システムのシェアは、昨年第３四半期に３１・２％（２００６年は２０・３％）に達し、トップを獲得した。

△東芝<6502>　消費電力３分の１　音声・映像用プロセッサー
東芝は、従来よりも消費電力を３分の１に低減した音声・映像用プロセッサーを開発した。複数のプロセッサーを組み合わせる、東芝独自の次世代マルチメディアエンジンのプラットホーム「Ｖｅｎｅｚｉａ（ベネチア）」と呼ばれる基本設計（アーキテクチャー）をベースにした第１弾の製品。２００９年中の製品化を目指す。米サンフランシスコで開催中の半導体集積回路技術の国際学会「ＩＳＳＣＣ」で５日（日本時間６日）発表する。ベネチアは、設計時点で一定範囲をカスタマイズできるプロセッサーと、そのプロセッサーの機能を高めるプロセッサーをメディア処理エンジンに利用する。ソフトウエアの互換性を保ちながら、用途に応じてプロセッサーの数を自由に変えられるのが特徴。開発したのは線幅６５ナノ（１ナノは１０億分の１）メートルプロセスで製造したプロセッサー。８つのメディア処理エンジンを３３３メガヘルツの周波数で動作させた場合、１２８０×７２０画素のハイビジョンテレビ並みの動画データの再生（毎秒６０フレーム）が６２０ミリワットの低い消費電力で処理できた。これは従来の３分の１の水準という。東芝はベネチアをベースにしたプロセッサーを、同社のマルチメディアエンジン「モバイルターボ」の次世代ファミリー「Ｔ６」としてラインナップする計画で、来年以降、携帯音楽プレーヤーや携帯電話端末、高性能のデジタル民生機器などに売り込む。

△松下電器<6752>　世界最大のＰＤＰガラス基板を採用
松下電器産業は５日、昨年６月に操業を始めたプラズマテレビ用パネル（ＰＤＰ）の尼崎第２工場（兵庫県尼崎市）の隣接地で建設しているＰＤＰ新工場（尼崎第３工場）で、世界最大となる２・２８メートル×３・９２メートルのガラス基板を採用する方針を表明した。
４２型換算で１６面のパネルが取れ、シャープ<6753>が堺市に建設中の液晶テレビ用パネルの新工場で採用する「第１０世代」のガラス基板（２・８５メートル×３・０５メートル）で取れる１５面を上回る。
尼崎第２工場では４２型換算で８面取れるが、新工場では倍増。１６面取りになることで、「コスト競争力が大幅に高まる」（幹部）としている。また、新興国のベトナムで液晶テレビの組み立てを開始する方針も明らかにした。
（FujiSankei Business i）