1/28 朝の『株価材料』PART Ⅶ

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■株価材料

▼サブプライム問題、米２輪車販売に打撃－２ケタ落ち込み予想
米国のサブプライムローン（信用度が低い個人向け住宅融資）問題が、２輪車市場（４輪バギー含む）に大きな影響を与えている。
スズキ<7269>は０８年の米国２輪車販売を前年比１７％減の１６万３０００台と予想。
ホンダ<7267>は「大幅減はないが、落ち込みは避けようがない」など日系各社の見通しはいずれも厳しい。そこで、各社は新機種投入など米国市場のテコ入れ策を講じる一方で、アジア、ブラジルなど有力市場での一層の拡販を目指す。北米の２輪車市場は、排気量６００ｃｃ以上の大型スポーツタイプの高付加価値品が主流。サブプライム問題で消費マインドが総じて冷えているうえ、２輪車は嗜好（しこう）性が高く、４輪車よりも売れ行きが景気に左右されやすいとされる。米国の２輪車販売（全需）は０６年が１７９万台で、０７年は１０％超減少した模様。０８年も２ケタの落ち込みが見込まれる。
そのうち日系４社（ホンダ、スズキ、ヤマハ発動機<7272>、川崎重工業<7012>）のシェアは５０―６０％ほど。
スズキの０７年の米国２輪車販売は前年比１４％減の１９万６０００台。鈴木修会長は「８月以降の米国輸出は全滅に近い。サブプライム問題の影響が大きい」と説明する。２輪車世界首位のホンダは北米地域の０７年販売見通しが同１２％減の４８万台。０８年も前年を下回る見通しで「北米は成熟市場。何があっても大きく回復することはない」（原田実専務）と厳しい見方を示す。日系各社は、アジアやブラジルなど好調な市場を抱え、米国の不振が致命傷になることはない。だが、高付加価値商品が中心で収益性の高い米国をなおざりにはできず、テコ入れが不可欠。そのため、ホンダは自動変速機（ＡＴ）搭載の大型２輪車「ＤＮ―０１」を投入、新規需要を喚起する。ヤマハは「北米の変動は軽微」（梶川隆社長）とみており「むしろ東南アジアや、ブラジルなど新興国への影響が心配。欧州も短期的に影響を受けかねない」（同）と世界全体への経済不安の広がりを懸念する。川崎重工業は欧米向けの大型２輪車を得意とするが、アジアのほか、ブラジルなどの新興国での展開を積極化する。タイには開発拠点を新設。販売面でも大型２輪車の投入などで、中・小型２輪車が主流のアジア市場で差別化を図る構えだ。

△フォークリフトの０８年度国内生産台数、１８万台を突破－過去最高更新の見通し
フォークリフトの０８年度（０８年４月―０９年３月）の国内生産台数が１８万台を突破、過去最高を更新する見通しとなった。東欧、ロシア、アジアなど新興地域向けに輸出が拡大しているため。国内メーカー各社の工場は増産を続けているが、原材料費高騰や競合との部品の取り合いなどで調達環境が悪化している。海外需要増に応える生産量を確保できるかどうかは、協力工場の部品供給力に大きく左右されそうだ。
日本産業車両協会の石川忠司会長（豊田自動織機<6201>会長）は「０７年のフォークの世界需要は０６年比１０％増の９０万台超となり５年連続で増加し、０８年も新興地域の需要増でさらに１０％は増加する」との見方を示した。総需要の約２５％を占める北米市場は「サブプライムローン（信用度の低い個人向け住宅融資）問題の影響で１０％程度の減少を見込む」ものの、「中国、インド、東欧、ブラジルなどの需要増が北米の減少分をカバーする」と予測。

△ドコモ<9437>、「ｉＤ」会員の加入促進－来春めど１０００万人獲得へ
ＮＴＴドコモは携帯電話を利用したクレジットサービス「ｉＤ」の事業戦略の重点を、導入店の開拓から会員獲得へと移す。導入店と連携した利用促進策を展開。ｉＤの利用と来店促進に結びつく仕組みを構築する。
先行した取り組みを日本マクドナルドホールディングス<2702>や東京無線タクシー、タワーレコードなどとの間で開始。現在５４１万人のｉＤ会員を０９年３月に倍の１０００万人に引き上げる。マクドナルドとはｉＤ決済を利用した際、携帯電話に電子クーポンを配信し抽選でドコモクーポンを提供するキャンペーンを一部店舗で始めた。これを夏には大都市圏の店舗に拡大する。東京無線タクシーとはｉＤで運賃決済する件数を運転手間で競うコンテストを実施。運転手が客にｉＤ利用を率先して働きかけるきっかけとする。ｉＤを利用するには対応端末で会員登録する必要がある。現在対応端末は２６４０万台普及するが、ｉＤ利用率は２０％と低い。

△富士通、印刷媒体から情報漏えいを防止する管理ソフト発売
富士通はプリンターで印刷された紙媒体からの情報漏えいを防止する印刷管理ソフトの最新版を発売した。印刷内容から自動検出した名前や電話番号などの個人情報件数が指定値を超えた場合、管理者にメールで通報。管理者は印刷者や印刷内容を特定し、印刷者に確認をとることができる。価格は３０万円から。金融業や教育機関、製造業の研究所向けに販売する。新製品「インターステージ・プリント・マネジャー９・０」は、印刷先をプリントサーバ上の共有プリンターに変更するだけで導入可能。このため異なるメーカーのプリンターが混在した状況でも使用できる。プリントサーバ上に抽出した印刷データから人名や住所、電話番号を検出する独自の認識技術を搭載。検出精度は９８％で、新聞１ページほどの情報量の場合、０・５秒で検出できる。

△ソニー<6758>ＣＩＤ、ブルーレイの製造コスト引き下げ－ＤＶＤと同等以下
ソニーケミカル＆インフォメーションデバイス（ソニーＣＩＤ、東京都品川区、杉山正義社長、０３・５４３５・３７６０）は、記録型のブルーレイディスク（ＢＤ）を現行のＤＶＤと同等以下のコストで生産できる技術を確立した。ディスクの構成材料や製造設備を内製化し、安価に製造する体制を構築した。従来の技術で同じ枚数を製造する場合、ＢＤはＤＶＤの５―１０倍のコストがかかっていた。ＢＤは次世代ＤＶＤ規格で競合するＨＤＤＶＤに比べ、製造コストの高さが課題の一つとされていた。製造コスト高が解消できれば普及に弾みがつきそうだ。ＢＤはＤＶＤより高密度にデータを記録するため、ディスクの成形や記録層の成膜には高い精度が求められている。このため高品質の材料を使い、成形や成膜工程に時間をかける。ソニーＣＩＤはディスク基板となるポリカーボネートの改質のほか、記録層や保護膜に用いる有機材などに低コスト材料を独自開発した。

△ＯＫＩ（沖電気工業<6703>）、ＩＰ対応キーテレホンなど中国生産を強化
ＯＫＩは中国で、インターネットプロトコル（ＩＰ）を使って通話するキーテレホン（事業所向け電話）などの通信機器の生産体制を強化する。２０１０年までに機器の製造を行う合弁会社の人員を現在と比べて約４０％増の５００人に増やす。日本で引き続きＩＰ対応キーテレホンの需要が旺盛なうえ、インドや欧州市場などにも進出して世界規模で事業拡大を進めているため。２０１０年には年間出荷高を８０億円と０７年の２倍にする計画だ。中国の情報通信機器メーカーである常州国光電子総公司との合弁会社、常州沖電気国光通信機器（ＣＯＧＴ、江蘇省常州市）の人員を現在の３５０人から大幅に増やす。ＣＯＧＴはＯＫＩのブランド「ＩＰステージ」シリーズのＩＰ対応キーテレホンと同構内交換機（ＩＰ―ＰＢＸ）を主に製造している。日本を含む世界各国への同シリーズの供給を一手に担う。

△フジテック<6406>、エレベーター用圧延鋼材の仕入れ先を近江産業に
フジテックは構造用圧延鋼材「ＳＳ４００」の仕入れ先を近江産業（大阪市中央区）に切り替えた。同社製エレベーターの一部に鋼材の強度不足が見つかった問題を受けての措置。すべてのＳＳ４００を新日本製鉄大分製鉄所で製造した近江産業納入品に一本化した。鉄鋼メーカーから鋼材商社を経て同社に納入されるまでの履歴管理を徹底し、問題の再発を防ぐ。近江産業は鋼材を切断加工するコイルセンターを自社で所有。鉄鋼メーカーの検査証明書（ミルシート）と連続性を確保した切断証明書を付けてフジテックに納入する。加えてフジテックも鋼材の受け入れ検査体制を強化。定期的に鋼材の引っ張り強度や硬度・成分を分析するほか社外検査も行う。製品ごとに使用鋼材を確認できる履歴管理システムも構築した。ＳＳ４００はエレベーターのかご（乗車部）周辺に使う。建築基準法で所要の強度計算により強度確保が義務付けられている構造材。

△古河ＡＳ（古河電気工業<5801>）、東南アで新工場－「ベトナム」軸に選定へ
古河ＡＳは、２０１０年までに東南アジアで自動車用ワイヤハーネス（組み電線）の新工場を設ける。ベトナムを第１候補に、東南アジアで適地の検討を進めており、早ければ０８年内に着手する。従業員２０００―３０００人、工場規模は約２万平方メートルで月産能力は６億円程度を想定。投資額は２０億―４０億円と見られる。新工場は安定して労働力を確保でき、物流インフラが整う農村地域で選定する。工場を１０年以上運営してきたベトナムも候補の一つ。リスク分散の観点で、他国への立地の可能性も探っている。

△東洋ゴム<5105>、鉄道用空気バネ増産－中国・欧向け拡大
東洋ゴム工業は明石工場（兵庫県稲美町）で、鉄道車両の揺れを抑える空気バネの生産能力を増強する。２０１０年度までに年産２万本に倍増させる。鉄道用部品市場は国内向けが横ばいだが、中国、欧州向けは拡大傾向にある。同社はすでに海外仕様製品の開発を済ませており、海外車両メーカーに攻勢をかける。投資額など詳細を今後詰める。空気バネは、圧縮空気をゴム内に注入してバネ作用を発生させる。鉄道用は車輪と車体を連結する部品として、１車両に４本用いる。東洋ゴムは欧州向けに新たなバネを開発。０７年１２月、独シーメンスに欧州メーカー向けでは初めて納入した。従来製品に比べ、上下方向のバネを柔らかくしてパンク時に走行できるようにした。　欧州の鉄道は駅と駅の間が長いこともあり、パンクしても終点まで走行する特性が求められるという。今後、同製品を欧州だけでなく、中国市場にも拡販する考え。

△ホンダ<7267>太陽、大分・日出工場を拡張－障害者雇用も拡大
ホンダ太陽は２輪車、４輪車の部品を製造する日出工場（同日出町）の増築に着工した。部品組み立て能力の増強と、プラスチック成形を行う杵築工場（同杵築市）の移転統合で生産効率の向上を図る。事業費は約８億円。社員の４割以上を占める障害者の雇用も拡大を目指す。工場は鉄骨４階建てで延べ床面積は７４００平方メートル。０８年８月の完成予定。ホンダＲ＆Ｄ太陽（日出町）の研究拠点も併設する。ホンダ太陽はホンダの特例子会社で、０７年末時点の社員数１３５人のうち５９人が重度または軽度の障害者。新工場では「完工後５年間で５０人の雇用を目指したい」（西田社長）としている。

△エネサーブ<6519>、ＣＯ２量を２４時間監視する専用システムをレンタル
エネサーブは４月から工場や商業施設で排出される二酸化炭素（ＣＯ２）量を２４時間監視する新事業に乗り出す。専用システム「Ｇ―Ｐａｃｓ（ジーパックス）」によるＣＯ２排出量や電力設備の漏電などを監視する。レンタル方式を軸に顧客を獲得し、初年度１５００台、将来は４０００台規模に拡大する。同社は新事業を、０６年に撤退したオンサイト発電事業に替わる収益の柱として育成を目指す。新システムは空調機器やボイラ、発電機などに取り付けたセンサーとマスターモジュールを使って監視を行う。利用者はパソコン画面でＣＯ２排出量のほか電力使用量などをグラフで確認できる。このほか同社はシステムで得たデータを分析し、必要に応じて空調設備のヒートポンプチラーなど省エネルギー型機器の利用を提案するサービスも併せて展開する。

△大阪ガス<9532>、リチウムイオン高入出力を可能にする電池負極材料開発
大阪ガスはリチウムイオンの高入出力を可能とした電池負極材料「ＩＣＯＫＥ（アイコーク）」を開発した。単位時間当たりに取り出せる電流は従来のリチウム電池負極材料よりも約３０％大きく、ハイブリッド自動車に応用した場合、加速性能の向上に役立つ。電池メーカーの試験評価を経て実用化を目指す。リチウムイオン電池の負極材料は炭素網面が積層した構造を持つ。負極材を作る場合、２８００度Ｃ程度で熱処理すると網面層が整ってリチウムイオンが蓄積しやすい構造となり、容量が大きくなる。今回、２０００―２２００度Ｃで処理し、網面を乱層構造とした。その結果、リチウムイオンの蓄積スペースが減った半面、同イオンの移動部分が増えたことにより高入出力が可能となった。

△旭ダイヤ<6140>、ワイヤソー工具を増産－千葉に新工場棟
旭ダイヤモンド工業はシリコンやサファイアなどの材料をインゴットから切り出してウエハーにするワイヤソー工具を増産する。千葉第二工場（千葉県長南町）で８月までに新工場棟を建設。生産能力を現在の４倍まで増やす。０７年６月に発売した新方式のワイヤソーが太陽電池関連などで受注が増えているため。投資額は建屋と設備を合わせ１０億円。増産するワイヤソー「ＥｃｏＭＥＰ（エコメップ）」は、ダイヤモンド砥粒（とりゅう）をニッケルメッキでワイヤに固定した工具。ワイヤにスラリー状の砥粒をかけながら切断する遊離砥粒方式よりも加工の速度が、２―３倍に速まるほか産業廃棄物の量も減る。多結晶シリコンやサファイアの切断に対応しており、多結晶シリコンを材料とする太陽電池のメーカーからの受注が急増。現状の生産能力では足りなくなったため増強を決めた。

△近鉄エクスプレス<9375>、日本―ロシア間の輸送サービスを強化
近鉄エクスプレス（ＫＷＥ）はロシア鉄道を使った日本―ロシア間の輸送サービスを強化する。いすゞ自動車が双日および現地企業と合弁でロシア国内で生産する小型トラックについて、２月から部品輸送を本格化。さらに、２月下旬にはロシアに進出している日本企業向けのキャンペーンも展開、ＫＷＥがロシア極東のボストウチヌイとモスクワを結ぶ臨時の専用貨物列車を仕立てて、日本から海上輸送した貨物を運び、ロシアでの鉄道による輸送を積極的に売り込む。ＫＷＥは、いすゞと双日などの合弁会社がロシアのタタルスタン共和国エラブガ市で生産する小型トラックの部品輸送を受託した。日本で製造したエンジン、シャシーなどの主要部品を横浜港から韓国・釜山港経由でロシア極東のボストウチヌイ港に輸送。同港から専用貨物列車で約８７００キロメートル離れたエラブガのトラック工場まで運ぶ。日本発の輸送日数は最短で２０日間。

△元気寿司<9828>、中国・北米に本格出店
元気寿司は今夏に中国・深センに出店し、中国大陸本格進出の体制を整える。また、年内をめどに北米にも出店する。海外での「回転すし」人気を受け、早期に展開を進めることでブランドを確立するとともに、海外市場拡大につなげる。中国ではフランチャイズチェーン（ＦＣ）方式で展開する。現地の外食大手と組む。まず、海外メーカーの進出が多く、富裕層が多いといわれる広東省深セン市に出店。軌道に乗り次第、上海など沿岸部の都市にも店舗を拡大する考え。米国出店は日本人居住者が多く、和食の認知度が高いシアトル市を候補に準備を進めている。現在、米国現地法人による直営店は１０店舗あるが、すべてハワイで展開しており、米国本土は初出店となる。同社ではこれを足がかりに、北米地区での本格展開を目指す。
（日刊工業新聞）

△来月、新ファイルサーバー　ネプロジャパン<9421>
携帯電話の販売などを手掛けるネプロジャパン（東京都中央区）は、情報漏洩（ろうえい）防止機能が搭載された新型ファイルサーバー「データクレシス・ステーション」を設定し、２月末から販売を開始する。同社は、ターゲットユーザーの中小企業を中心に積極的に営業攻勢をかける。個人情報保護法などの施行により、情報漏洩対策に対する意識が強まっている。ユーザーからは、情報漏洩防止機能付きのファイルサーバーのニーズが強く、同社は製品化に踏み切った。新製品は、機密情報などをファイルサーバーに保存するだけで自動的にその情報を暗号化。仮にメールの添付やＵＳＢメモリーへのコピーなどで外部に情報を持ち出しても、外部では情報が解読できないようになっている。

△特保研究で共同事業　総医研ホールディングス<2385>
総医研ホールディングス（大阪府豊中市）の子会社エビデンスラボは、神奈川県保険医協会と、特定保健用食品（トクホ）など機能性食品に関する有用性・安全性の臨床的科学的根拠を構築するための共同事業を行うことで合意した。同協会の会員医師は約５５００人。同協会では、会員医師を通じた機能性食品に関する市販後調査などの臨床評価調査を実施する。臨床時において、機能性食品と薬剤との併用や、長期摂取時における安全性評価、有用性など科学的根拠構築が可能となる。また、会員医師に対して機能性食品に関する最新学術知識を提供するほか、一般市民に対する予防医療の啓発活動も行う。同子会社は、大阪府内科医会とも大阪府で同様の共同事業を展開している。

△特殊自転車の新商品　カワムラサイクル<7311>
カワムラサイクル（神戸市西区）は、開発中の従来にない乗り物「スロー・サイクル」を３月から順次発売する。同社は昨年末に、前輪が平行２車輪となった特殊自転車を開発したランドウォーカー（大阪市東淀川区）を子会社化した。自転車タイプで安定度が高く、子供や荷物の載せ降ろしもしやすい「コアラ」「ポニー」や、３輪車タイプで前輪駆動・前輪操舵により、バックも可能な「クークル」については昨年末で販売を停止して、改良や改善を進めている。新製品は、自転車でも車いすでもない、まったく新しいタイプの乗り物として幅広く利用できるようにシリーズ化を図る。２００９年３月期の販売目標は２０００台。価格は１５万７５００万円から

△保険代理業で子会社　ウィル不動産販売<3241>
関西地区を中心に不動産仲介ビジネスなどを展開するウィル不動産販売（兵庫県宝塚市）は、保険代理業務を拡大するため、新たに子会社「ウィルフィナンシャルコミュニケーションズ」（兵庫県宝塚市）を設立し、２月下旬から営業を開始する。ウィル不動産販売グループでは、不動産物件を購入する顧客向けに、損害保険代理業務やローン事業代行といった、さまざまな金融サービスをかねてから提供している。しかし、顧客によりきめ細かく、専門的なサービスを提供するには、金融サービス専門の子会社を立ち上げる必要があると判断した。子会社はグループの顧客へのサービスだけでなく、全国の不動産業者などと提携し、新規顧客の獲得につなげ、業績拡大を目指す。

△風だけで静かに稼働　ハセックの排気システム再び脚光　病院・公共建築物で採用増える
マンションや病院、公衆トイレなどに取り付ける自然の風を利用した排気システムが見直されている。
長谷工コーポレーション<1808>グループのハセック（東京都港区）が製造する「ウイングジェッター（ＷＪ）システム」と呼ばれる装置だ。電気エネルギーが不要なため、二酸化炭素（ＣＯ２）を排出することもなく、地球温暖化対策が急務のなか、改めて脚光を浴びている形だ。最近のマンションは、各住戸単位で排気を行う仕組みになっている。これに対し、約３０年前に建設されたマンションの場合、建物の縦方向にダクトが設置され、そこに室内の空気が送り込まれて屋上から排気する方式が取られていた。その役割を果たすのが、１９７４年に登場したＷＪシステムだ。同システムは飛行機の翼を逆さまにしたような形状。翼の前方から空気が流れると、翼には抗力と揚力が発生するが、この揚力を使ってダクト内の空気を上昇させ、排気する仕組み。わずかな風でも十分な排気能力をもち、風速に比例して排気能力が高まる構造になっている。このシステムは、累計８０００台を販売するヒット商品に成長したものの、各住戸別に換気する方式の普及によって８２年に生産停止してからは、約２０年間受注実績がゼロだったという。再び人気を集め始めたのは、納入したマンションのリフォーム工事が増えだした２００３年ごろのこと。マンション修繕工事だけで０５年度は１３５台を販売。０７年度も１２０台を計画している。今回のブームは、改修するマンションの取り換え需要にとどまらず、病院や公共建築物などに新規に採用されていることが特徴的。ハセックの谷博嗣・営業３部営業課長は「運転音が静かであるのに加え、風だけで稼働するためＣＯ２を排出することがなく、このことが関心を集めている理由だろう」と分析する。国内だけでなく欧州など海外でも注目を集めており、地球温暖化問題を背景に、全世界で本格的にスポットライトを浴びる可能性もありそうだ。

△“究極”のエコ住宅　住友林業<1911>が１日発売　外装も天然の素材
住友林業は、環境配慮技術を結集した住宅の新製品「マイフォレスト－大樹」を２月１日に発売する。柱や土台などの主要な構造材には、国産ヒノキを１００％使用。また、ドアや床、階段などの内装部材にも国産スギを用いる。室内壁には自然素材である火山灰（シラス）を主原料とし、調湿・消臭性能に優れた「しらす壁」を採用。外装にも天然の土や貝殻、サンゴを混ぜた「シーサンドコート」を用いる。一方、二酸化炭素（ＣＯ２）排出量を少なくするために、夏の暑さを和らげて涼しさを呼び込み、冬場にはぬくもりをつくり出す設計手法を取り入れ、冷暖房機器に頼らずに快適に過ごせるように工夫している。給湯関連設備も高効率給湯器や断熱浴槽などを有効活用。このほか太陽光発電やブラインドシャッターなども提案部材としてラインアップしている。設立６０周年を記念し、販売するうち先着１００棟は、四国の社有林で育てられた約８０年が経過したヒノキを大黒柱として使う。太さは約１８センチ。「マイフォレスト－大樹」の価格は３・３平方メートル当たり７２万円台から。販売目標は２００棟。住友林業は昨年５月、１０年間の長期経営計画「プロジェクト　スピード」を策定し、新築注文住宅事業では森林や木の活用を通して地球環境問題に貢献していく方針を打ち出していた。

△エネルギー消費削減目標　２倍の６％に引き上げ　百貨店協会が見直し
全国の百貨店９４社が加盟する日本百貨店協会は、業界のエネルギー消費量（エネルギー消費原単位）の削減目標を引き上げることを決めた。１９９８年度から２００７年度までの１０年間で、９０年度比３％削減する目標を打ち出していたが、０８年度から１２年度までの５年間の目標は６％減に設定する。高い目標を掲げることで、加盟各社にいっそうの省エネ対策を促し、百貨店業界として、日本の二酸化炭素（ＣＯ２）削減に貢献するのが狙いだ。現在の同協会の目標は、店舗面積１平方メートル当たり１時間に消費するエネルギー量を９０年度比３％削減すると明示している。これに対し０６年度は９０年度に比べ１０％減の実績を上げた。ただ、百貨店の場合、天候や客足によってエネルギー消費量が大きく変動するため、特定の年度の実績数値を安定的に維持できるとはかぎらない。実際に０３年と０４年は目標数値を下回っている。このため削減目標は省エネ努力を重ねることによる到達可能な数値として、６％に設定する。百貨店協会では、これまでも冷房温度を昨年より１～２度高めに設定する運動を展開したほか、エコバッグの製作も手がけるなど、ＣＯ２排出量の削減に向け、業界が足並みをそろえる形で取り組みを強めてきた。
一方で、伊勢丹<8238>や松屋<8237>、高島屋<8233>などが店舗屋上のコンクリートを天然芝で覆うなど、ヒートアイランド現象の緩和などを目指して、各社が独自の工夫をする例も増加している。日本は０８～１２年の間にＣＯ２排出量を９０年比６％削減する義務を負っており、各業界団体も削減目標の見直しを進めている。百貨店協会は今回の削減目標の改定について、「消費者との接点が一番多いことから、百貨店が率先して環境問題に取り組む必要があると判断した」（平出昭二専務理事）と話している。
（FujiSankei Business i）