12/20 朝の『株価材料』PART Ⅲ

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■株価材料

△大同生命（Ｔ＆ＤＨＤ<8795>）、保険料と保険金が毎年減る保険
大同生命保険は19日、死亡保険金が毎年一定の割合で減っていく「逓減定期保険」で、負担する保険料も毎年減る新しいタイプの商品の販売を始めると発表した。販売開始は1月7日から。25歳から75歳までの人が対象で、保険期間は最長55年。例えば、40歳の男性が保険期間10年、保険金額1億円の条件で加入した場合、保険金額は毎年1000万円ずつ減る。保険料は1年目で2万4200円だが、毎年2420円ずつ減っていく。

△旭化成<3407>、電子・電池材料の研究拠点新設に100億円
旭化成は19日、電子・光学材料とエネルギー分野の研究開発拠点を静岡県富士市の工場内に新設すると発表した。薄型ディスプレー用やリチウムイオン電池の材料などを手がける。投資額は約100億円で、2009年8月に運用を始める。「新総合研究棟」は総床面積が2万2000平方メートルで、人員は約300人。量産に向けた試作の大型設備や性能評価の設備を導入し、自動車用リチウムイオン電池や燃料電池の素材や光学材料など、次世代型の素材の研究開発と実用化を進める。これまで新規事業関連の研究施設は、富士市と神奈川県川崎市の2拠点に分散していた。新設の大型研究棟に集約することで、戦略事業の開発を加速する。

△携帯電話出荷、7―9月は17％増・ＩＤＣ調べ
調査会社のＩＤＣジャパン（東京・千代田）は19日、7―9月の携帯電話端末の国内出荷台数が前年同期比17.4％増の1168万台だったと発表した。前年同期は番号継続制度開始前で買い控えが起こったが、今期はその反動で大幅増となった。
メーカー別シェアはシャープ<6753>が首位を守った半面、7.8ポイント低下の22.2％。
主要納入先のソフトバンク<9984>が在庫調整のため、調達を絞ったことが響いた。
2位は松下電器産業<6752>子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズの14.2％。
ＮＴＴドコモ<9437>、ＫＤＤＩ<9433>（ａｕ）、ソフトバンクの3社にバランスよく納入、シェアは0.5ポイント上昇した。
3位は中高年向け携帯電話「らくらくホン」が好調な富士通<6702>だった。

△マルハニチロＨＤ<1334>、事業子会社を５社に再編
マルハニチロホールディングス（ＨＤ）は 19日、来年4月1日以降の事業子会社の体制を発表した。水産、冷凍食品や缶詰などの食品、畜産、保管物流、総務や経理など間接業務の受託会社の5社に再編する。傘下の事業子会社間で重複する業務を分野別に整理・集約して経営を効率化。
2009年3月期に連結営業利益で約40億円の押し上げ効果を見込む。マルハがマルハニチロ水産（東京・千代田）に社名変更し、漁業、養殖、水産物の輸入・販売などを受け持つ。ニチロはマルハニチロ食品（同）となり、冷凍・冷蔵（チルド）食品や缶詰などを生産・販売。新設するマルハニチロ畜産（同）が食肉加工業務を担う。マルハ物流ネットがマルハニチロ物流（東京・中央）に社名を変え、食品の保管・物流業務を担当。マルハヒューマンアシストはマルハニチロマネジメント（東京・千代田）に改称、グループ内の総務・経理・財務などの間接業務を受託する。

△ガソリン、１リットル155.3円に・灯油は最高値
石油情報センターが19日発表したレギュラーガソリンの給油所店頭価格（全国平均、17日時点）は、前週比0.2円安い1リットル155.3円となった。下落は3週ぶり。今月初めに店頭価格が大幅に上がった影響で買い控えが起き、全国的に出荷が減少。在庫を抱えた給油所が販売量確保のため、値下げする動きが広がったとみられる。灯油は1缶（18リットル）1757円と2円上昇し、7週続けて調査開始（1987年）以来の最高値を更新した。冬の需要期だが「販売量は暖冬だった昨冬を下回っている」（商社）との指摘もある。ハイオクガソリンは0.2円安い1リットル166.3円、軽油は0.1円安の133.5円。石油製品の需給が総じて緩み始め、これが価格の下落につながっている。

△ダイハツ工業<7262>、大分県の生産子会社に開発拠点
ダイハツ工業は19日、生産子会社のダイハツ九州（大分県中津市）に設計などを手掛ける開発拠点を2010年代前半にも設けることを明らかにした。自社の新型車に加えて、トヨタ自動車グループの軽・小型車戦略の重要拠点に育てたい考えだ。大分第2工場の完成式後の記者会見で、ダイハツの白水宏典会長が明らかにした。新拠点の稼働後は、車体の基盤となる車台（プラットフォーム）の開発は本社で実施。ボディーや内装設計などをダイハツ九州が手掛けることになる見通し。白水会長は「ダイハツ九州を中心にグローバル展開を進める」と語った。同日公開した大分第2工場は235億円を投じた軽自動車の工場。フル稼働すると23万台を生産でき、第1工場を含めるとダイハツの国内全工場の約4割の生産能力を持つことになる。当面は主力車種の「ミラ」を生産し、将来的には4―5車種に増やす。

△ハウス食品<2810>や森永製菓<2201>など、健康食品の通販強化
ハウス食品や森永製菓など大手食品メーカーが健康食品の通信販売を強化する。新しい食品素材や成分を使った専用商品を投入し、中高年を中心に販売する。少子高齢化で食品の需要が伸び悩んでいるうえ、小売店店頭での販売競争も激しくなっている。消費者に直接売り込むことで新規顧客を開拓すると同時に、商品開発などにも役立てる。ハウスは植物性乳酸菌を使った通販専用のサプリメント（栄養補助食品）を発売した。同乳酸菌は昨年、武田薬品工業から買収した子会社が研究してきた。今後は同子会社の素材で通販専用品を開発。好評なら店頭向け商品に活用する。森永製菓は特定保健用食品のお茶販売に力を入れる。09年3月期は新聞などへの広告出稿を増やし、同商品で10億円と販売額を今期の約2倍に引き上げる。

▼日化薬<4272>がストップ安比例配分――約320万株売り残す
前場ではいったん値幅制限の下限（ストップ安）にあたる前日比100円安の792円で寄り付いて数回取引が成立したが、その後は同水準で売り気配のまま推移した。大引けにストップ安水準で比例配分され20万1000株の売買が成立、同水準で320万5000株の売り注文を残した。18日に2008年５月期の連結純利益が前期比１％増の67億円になりそうだと発表。従来の95億円から予想を引き下げたことで失望売りが膨らんだ。

▼日医工<4541>が続落――個人の利益確定売り
続落。個人投資家などとみられる売りが優勢で、後場に下げ幅を広げている。一時、前日比135円安の2350円まで下げた。このところ急ピッチで株価水準を切り上げていたため、利益確定売りが出やすくなっている。ただ厚生労働省は来春、医師が後発薬を優先処方する普及策を実施することから、来期の業績拡大への期待も根強く「調整は短期的に終わるのではないか」（大手証券）との見方もあった。

△あらた<2733>が大幅高――５％の自社株買い実施を評価
大幅高。朝方に前日比62円高の313円まで上昇する場面があり、その後も堅調。18日大引け後にＴＯＢ（株式公開買い付け）による自社株買いの結果を発表、発行済み株式の約５％にあたる406万株の応募があり、その全部を買い付ける。買い付け総額は約12億円。流通株式数を減らして１株あたりの配当金額の維持や増加を目指す、株主配分に配慮した姿勢を評価した買いが入った。買い付け総額は約13億円。11月15日に取締役会で決定した自社株買いはこれで終了する。もっとも、当初予定していた買い付け株数600万株、約19億円には達しなかったため、市場ではさらなる自社株買い実施への期待もあるようだ。

▼東エレク<8035>が軟調――日経平均のマイナス寄与度上位に
軟調。一時は前日比160円安の6560円まで下げた。年末接近で市場参加者が少なく、指し値の買い注文が薄い中、散発的な利益確定売りに押されているという。「朝方から主力大型株に一部の機関投資家が換金売りを出している」との指摘もあった。日経平均株価のマイナス寄与度ランキングで上位に入っている。ソニー（6758）やトヨタ（7203）も軟調だ。

▼海運株がさえない――バルチック指数下落が重し
海運株がさえない。郵船<9101>は後場に入って一時、前日比８円安の891円を付けた。
商船三井<9104>も前日比26円安の1423円まで下げる場面があった。ばら積み船の運賃・用船料の国際総合指数であるバルチック海運指数（ＢＤＩ、1985年平均＝1000）が３日続落しており、株価の重しとなっている。海運株は業種別東証株価指数（ＴＯＰＩＸ）の下落率ランキングで上位に入っている。
（NIKKEI NET）

△08年の電子情報産業の世界生産、6.6％増の243兆円へ
電子情報技術産業協会（ＪＥＩＴＡ）は１９日、２００８年の電子情報産業の世界生産が前年比６．６％増の２４３兆３１５９億円になるとの予測を発表した。０７年は同７．５％増の２２８兆１７９６億円の見込み。世界規模でデジタル製品のすそ野が広がり、拡大傾向が継続すると予測している。今回は、テレビなど音響・映像機器や通信機器、コンピューターや半導体など電子機器・電子部品に加え、ソフトウエアやＩＴ（情報技術）ソリューション・サービスなどの生産実績と予想を集計した。ＪＥＩＴＡが電子情報技術産業の世界生産の実績と予測をまとめるのは初めて。広範囲な電子情報技術産業の全体像をまとめた世界でも初の取り組みとしている。
記者会見したＪＥＩＴＡの町田勝彦会長（シャープ<6753>会長）は、米サブプライムローン（信用度の低い個人向け住宅融資）問題などによる経済悪化が２００８年の電子情報業界に与える影響について「前半は米国など先進国で若干影響があるとみているが、新興国の経済は大変好調で、（サブプライム問題などを）打ち消すとみている」との認識を示した。
２００８年予測の内訳を主な製品別でみると、テレビが１１．４％増の１７兆４０８０億円、携帯電話が５．６％増の１６兆８０００億円、パソコン（サーバー用除く）が１１．７％増の２４兆９９６１億円、半導体が８．０％増の３３兆０８５３億円、ソフトウエアが８．０％増の２２兆０５７４億円となっている。ＪＥＩＴＡは日系企業による世界生産の予測なども併せて発表。０８年は前年比５．５％増の５２兆４５５０億円の予測で、０７年見込みは同４．５％増の４９兆６９０４億円となっている。０７年世界生産見込みに対する日系企業のシェアを主な製品別でみると、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラ（８６％）、電子部品（４３％）、テレビ（３９％）、プリンター（３８％）などが高く、パソコン（７％）、ＩＴ・ソリューションサービス（１１％）、携帯電話（１７％）などは低迷している。半導体の同シェアは２１％となっている。
町田会長は会見で、松下電器産業<6752>、キヤノン<7751>、日立製作所<6501>が液晶や有機ＥＬ（エレクトロ・ルミネッセンス）など薄型パネルでの提携を検討していることについて、「事実であれば日本のエレクトロニクス企業にとって大変よいこと。産業界はお互いの違う技術が競争しあって発展する」と述べた。

△ＮＥＣエレ<6723>、2008年3月期は営業黒字を確保する見込み
ＮＥＣエレクトロニクスの中島俊雄社長は１９日、２００８年３月期業績について営業黒字を確保できるとの見通しを述べた。ロイターのインタビューで語った。同社の従来計画では、０８年３月期営業損益はトントンとなっている。中島社長は、１０─１２月期の売上高は前四半期比で微減、１─３月期は同横ばいと見ている。為替など不確定要素があると説明し、２００８年３月期の営業損益について「不透明感は残るが通期の営業黒字確保は可能。下期の黒字も努力の範囲内」とした。システムＬＳＩなどの価格下落は、従来予想通り「通期で前期比１０％の下落の範囲内に収まりそうだ」（中島社長）と語った。また、ＬＣＤ（液晶ディスプレー）関連事業の拡大のために、アウトソーシングやサプライヤーとの連携拡大もありうるとした。
一方、東芝<6502>が回路線幅３２ナノメートルの半導体プロセス技術を米ＩＢＭなどと共同開発すると発表したことに関連して、ＮＥＣエレが合流する必要性は「現段階ではない」（中島社長）とした。来期の見通しについて中島社長は、最終黒字確保のために「海外ビジネスを増やしていかないといけない。攻めの年になる」と述べた。

△ダイキン<6367>が上場来高値、好需給と環境対応力など評価
ダイキンが上場来高値を更新している。外国人、国内機関投資家など実需筋の買いが継続していることに加え、直近の信用倍率が０．２８倍と極端な売り長になっていることから、需給的が妙味も増している。「空調市場は新興国や欧州向けに拡大基調だが、とりわけダイキンは環境対応力など技術面での評価が高い。ユーロ高のメリットも大きい」（大手証券情報部）という。

△京急<9006>が663.5万株・54.15億円を上限に自社株買い、発行株の1.23％
京浜急行電鉄は１９日、発行済株式総数の１．２３％に相当する６６３万５０００株、５４億１５００万円を上限に自己株式を取得すると発表した。１９日の終値７０２円で１２月２０日午前８時４５分の東京証券取引所のＴｏＳＴＮｅＴ─２において買い付けの委託を行う。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を図るためとしている。

△神栄<3004>が188.5万株・3.9億円を上限に自社株買い、発行株の4.76％
神栄は１９日、発行済株式総数の４．７６％に相当する１８８万５０００株、３億９２０８万円を上限に自己株式を取得すると発表した。１９日の終値２０８円で１２月２０日午前８時４５分の東京証券取引所のＴｏＳＴＮｅＴ─２において買い付けの委託をする。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を図るためとしている。

△アトム<7412>が19万3200株を上限に自己株取得へ、発行済み株式の0.55％
アトムは１９日、発行済み株式総数の０．５５％に相当する１９万３２００株を上限に自己株を取得すると発表した。取得総額上限は９０００万円。取得期間は１２月２１日から２００８年１月２０日まで。

△イメージ情報開発<3803>が100株・3000万円を上限に自社株買い、発行株の1.1％
イメージ情報開発は１９日、発行済み株式総数の１．１％に相当する１００株、３０００万円を上限に自己株式を取得すると発表した。取得期間は１２月２０日─２００８年２月２９日。経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行のためとしている。

△セントラルサービス<2304>が600株を上限に自己株取得へ、発行済み株式の1.14％
セントラルサービスシステムは１９日、発行済株式総数の１．１４％に相当する６００株を上限に自己株を取得すると発表した。取得総額上限は４８００万円。取得期間は１２月２０日から２００８年３月３１日まで。

■旭硝子<5201>、欧州独禁法違反の課徴金に備え325億円を引き当て
旭硝子は１９日、欧州における板ガラスと自動車ガラスに関連した独禁法違反の疑いによる課徴金支払いの将来リスクとして、計約３２５億円（２億ユーロ）を損失として２００７年１２月期に引き当て計上すると発表した。同社は１１月２８日、同社と子会社のＡＧＣフラットガラス・ヨーロッパ（ＡＦＥＵ、ブリュッセル）が、板ガラスのカルテルを結んだとして、欧州委員会から約１０５億円（６５００万ユーロ）の課徴金支払いを命じられたと発表していた。このほか欧州委員会は４月１８日付で、自動車ガラスに関連した独禁法違反の疑いで、旭硝子とその子会社ＡＧＣオートモーティブ・ヨーロッパ、ＡＦＥＵに対して異議告知書を発行しており、調査を継続している。今回の引き当て額約３２５億円には、板ガラスの独禁法違反に対する約１０５億円の課徴金額を含むとしている。

△日興ＣＧ<8603>、臨時株主総会で米シティとの合併を承認
日興コーディアルグループは１９日、都内で臨時株主総会を開き、米シティグループの完全子会社になる議案を承認した。これにより日興ＣＧは、０８年１月に１株１７００円に相当するシティ株との株式交換を実施し、シティの子会社となる。日興ＣＧの株は１月末に上場廃止になる見込み。日興の桑島正治社長は、銀行と証券の業務のファイヤーウォール（障壁）が下がる経営環境のなか「柔軟で効率的な運営のために（シティとの）合併が有効」と説明した。しかし、今回のシティと日興ＣＧの株式交換に関する合意が、米サブプライムローン（信用度の低い借り手向け住宅ローン）問題によるシティの大幅な損失計上の前から進んできた話のため、出席した複数の株主から、直近のシティの状況を加味し「タイムスケジュールを見直すべきではないか」との意見がでた。桑島社長は、株式交換の条件が決定するのは０８年１月１５─１７日と、１月末の完全子会社化に最も近い時期のシティの株価を参考に計算され、直前の状況を反映できるタイミングだと繰り返し説明。１株１７００円に相当するシティの株式と交換するのではなく、２０００円にするべきとの修正案も出されたが、原案である１７００円を条件とする議案が可決されたため、修正案は否決された。株主からは、トップの暴走を止められなかった経営体質という観点からすると「粉飾決算問題を起した日興も、サブプライム問題で損失が止められなかったシティも似ており、アメリカ流の企業統治に（日興が）変わったとしても修正できるとは思えない」との発言もでた。また、桑島社長が、今回の株式交換は少数株主の利益も守るために進めている手続きだと説明した場面では、一部株主から「そもそも日興の株価は低迷し、塩漬けにしておいたら上がると期待していたがそうでもなく、株主はすでに損をしている」と、経営に対する不満をにじませる発言もあった。臨時株主総会には１６３人の株主が出席し、所要時間は２時間０１分だった。
日興株主には、０８年１月１５─１７日の、ニューヨーク証券取引所におけるシティの加重平均価格の平均値と、同期間の三菱東京ＵＦＪ銀行のドル円相場（日本時間午前１１時の仲値）を基準に、日興株１株当たり１７００円相当のシティ株が割り当てられる。サブプライム問題をきっかけにシティの業績が低迷したため、日興ＣＧの株主からは、株式交換の価格や時期などの条件を見直すべきとの意見がでたが、シティの株価が下がれば日興ＣＧの株主は多くの株数と引き換えることが可能となる。このため、将来の値上がり益を期待する場合、シティの株価下落は、必ずしも日興ＣＧの株主にマイナスとはならない。また、ドル円相場が円高になれば、より多くの株数と引き換えられることにもなる。当初、交換条件には、シティの株式に３７ドルの下限が設けられていたが、サブプライム問題の影響による株価下落を受け、修正された。現行の条件のもとでは、シティの平均株価が２２ドルを下回った場合は、シティと日興ＣＧは株式交換についてあらためて協議することになっている。

▼日興ＣＧ<8603>の格付けをＡａ３からＡ１に引き下げ＝ムーディーズ
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日興コーディアルグループの長期格付けをＡａ３からＡ１に引き下げた。同時に、日興コーディアル証券、日興シティグループ証券の長期格付けをＡａ３からＡ１に、シティバンク銀行（東京都品川区）の長期預金格付けと銀行財務格付けをＡａ１からＡａ３に２ノッチ引き下げた。格付けの見通しはともに安定的。ムーディーズによると、今回の格下げは、米シティグループの格下げを受けた措置。

△新日鉄<5401>・住金<5405>・神戸鋼<5406>が相互に株式追加取得へ
新日本製鉄と住友金属工業、神戸製鋼所の３社は１９日、相互に株式の追加取得を行うと発表した。新日鉄と住金はそれぞれ１０００億円程度の追加取得を行うほか、新日鉄と神戸鋼、神戸鋼と住金もそれぞれ１５０億円の規模で株式持ち合い強化を行う。３社は鉄源の有効活用などでも協力しており、効率化で競争力を高める一方、アルセロール・ミタル (MTP.PA: 株価, 企業情報, レポート)への対抗軸作りを着実に進めている。株式の追加取得は、２００７年度末までに市場において実施する。直近１カ月の平均株価レベルで試算した場合、新日鉄による住金株の保有比率は現行の５．０１％から９．４％に上昇する。住金は新日鉄株の保有を１．８１％から４．１％に高める。新日鉄の神戸鋼への出資比率は２．０５％から３．４％に、神戸鋼の新日鉄への出資比率は０．４１％から０．８％になる。住金の神戸鋼への出資比率は２．０５％から３．４％に、神戸鋼の住金への出資比率は１．７１％から２．４％になる。新日鉄の増田規一郎副社長は、会見で「連携施策を円滑、着実に実行するために、さらなる信頼関係強化が必要だ。連携施策の強化の経済効果を勘案し、それに見合う追加取得を決めた」と説明。さらには「結果的に買収防衛に効果があるかもしれない」とも述べた。新日鉄にとっての経済効果については、住金との提携で利益ベースで年間５００億円以上、神戸鋼との提携で年間１００億円程度はあるという。株式の持ち合い強化によって、他社の株価変動が経営に影響を与える事態も出てくる。ただ、神戸鋼の小山敬治副社長は「提携の裏付けがあり、資本投下の効率が悪いとは思っていない」と述べるなど、３社とも、提携効果の大きさを強調した。
今回の追加取得によって、新日鉄は住友商事<8053>を上回り、住金の筆頭株主となる。増田副社長は、会見後に記者団に対し、今回の追加取得は持ち株比率１０％をひとつの節目として考えていたことを明らかにした。新日鉄が筆頭株主になることについて、住金の本部文雄副社長は「淡々と受け止めている」と述べた。さらなる株式保有比率引き上げについて、増田副社長は「現時点で、さらなる追加取得は考えていない。今回の提携の効果を速く発揮することに全力を尽くしたい」と述べた。ただ、海外での提携の可能性については「効果のある連携策があり、チャンスがあれば、やっていきたい」と意気込みを語った。３社は１０月末に提携強化を発表。住金が和歌山製鉄所に新高炉を建設し、鉄鋼半製品を新日鉄と神戸鋼が有効活用することを決めた。その際、株式の持ち合い強化についても検討を進めるとしていた。

△ホンダ、2010年ごろに総販売の1割をハイブリッド車に
ホンダ<7267>の福井威夫社長は１９日会見し、２０１０年ごろに総販売台数の１割をハイブリッド車にする方針を明らかにした。さらに福井社長は、４８０億円を投資してアキュラブランドの専用開発棟を新設することも発表。２００７年の自動車販売台数については３７６万台と過去最高を見込むとともに、０８年も引き続き伸長するとの見通しを示した。福井社長は「２０１０年ごろに総販売台数の１０％程度がハイブリッドになると想定している」と発言。そのうえで「本格的な競争はこれから。これまではイメージアップのための競争だったが、コストなどビジネスとして成り立つ段階が２０１０年ごろにやって来る」と語った。
プリウスで環境対策車に強いというイメージを確立したトヨタ自動車<7203>に、ビジネスとして競争を挑む考え。
０９年にハイブリッド専用車を全世界に投入して年間２０万台を販売するほか、スポーツカータイプのハイブリッド車を発売するなど、商品ラインアップを強化する。量産効果などでコストを削減し、同じ車種のガソリン車との価格差を２０万円以内に抑える。高級ブランドのアキュラ専用の開発棟は、栃木県さくら市に新設する。関連投資額は４８０億円で、０９年に一部稼動。２０１０年に全面稼動させる。アキュラブランドを新たに日本やアジアに投入していくことを見据え、車台など基本部分の開発体制を強化する。ホンダブランドと研究体制を切り離すことで、両ブランドの個性を明確化できるようにする。０７年の自動車の総販売台数は前年比６％増の３７６万台で、過去最高を更新する見通しだという。０８年の販売台数見通しは地域別のみ公表し、全体の計画値を明らかにしなかったが、福井社長は「すべての地域で増加するので、来年も伸びる」と語った。主力の米国市場の０８年は前年比３％増の１５９万台を計画。サブプライムローン（信用力の低い借り手向け住宅融資）問題などで総需要が１５９０万 ─１６００万台に縮小（０７年のホンダ予測は１６１０万─１６２０万台）すると予測するなか、ホンダは高燃費車の人気を追い風に販売増を計画している。０８年の欧州市場は同１１％増の４２万台、アジア市場（中国・日本を除く）は同２０％増の４１万５０００台、中国市場は同１７％増の４９万台を見込む。日本市場の計画は明らかにしなかったが、福井社長は「今年が底」と語り、０８年は増加に転じるとの見通しを示した。今年１０月に発売した人気小型車「フィット」が貢献するほか、新車を４モデル投入する。０７年の日本市場は全体の需要縮小を背景に、前年比１２％減の６２万台と見込んでいる。
（ロイター）