△ＮＥＣ<6701>・クレイ連合、国立天文台からハイブリッド型スパコン受注
ＮＥＣと米クレイの日本法人であるクレイ・ジャパンは、自然科学研究機構国立天文台（東京都三鷹市）からベクトル型とスカラー（並列）型を組み合わせたハイブリッド仕様のスーパーコンピューターシステムを受注した。スパコン内で宇宙を再現し、銀河形成の過程をコンピューターシミュレーションで解析する。日米連合により、既存システムの富士通製ベクトル型スパコンの置き換えに成功した。スパコン市場で競合関係にあるＮＥＣとクレイがハイブリッド提案で手を組むのは初めて。月額リースで受注し、総額は５年換算で推定十数億円。計算能力は「既存システムに比べ５０倍となる」（牧野淳一郎国立天文台天文シミュレーションプロジェクト長）と性能の大幅向上を実現する。０８年３月末に国立天文台三鷹キャンパス（同）に納入し、４月に稼働を予定する。受注したシステムは単一コア（回路）で１００ギガフロップス（１秒間に１０００億回の浮動小数点演算性能）を超える新型の超高速プロセッサーを搭載したＮＥＣのベクトル機「ＳＸ―９」２ノードと、米ＡＭＤ製の最新クアッドコア（回路が４個）プロセッサーによる高速並列処理が可能なクレイのスカラー機「ＸＴ４」を組み合わせ、用途に応じて使い分ける。ＳＸ―９は２ノードで合計２０個のプロセッサー（ＮＥＣ製）構成となり、計算能力は最大２テラフロップス（１秒間に２兆回の浮動小数点演算性能）を実現。主に大規模な流体解析に用いる。ＸＴ４はオプテロンを７４０個（回路は２９６０個）搭載し、理論ピーク性能は約２６テラフロップス（同２６兆回の浮動小数点演算性能）を実現できる。クアッドコア版オプテロンで大規模構成を組むのは国内では初めて。細かい計算が必要な粒子系分野で活用する。国立天文台は大学共同利用機関法人として広く研究者に門戸を開いている。理論天文学では世界的な成果を上げており、スパコンは銀河や星の進化、ブラックホールの形成といった現象を解明する必須のツールになる。

△横河電<6841>、ロシア・近隣に相次ぎ拠点新設－制御機器を即納
横河電機はロシア・独立国家共同体（ＣＩＳ）諸国にプラント向け制御機器の事業拠点を相次いで新設する。０８年中にサンクトペテルブルクにエンジニアリングの拠点を、ベラルーシの首都ミンスクに営業・サポートなどの拠点を開設。さらに制御機器の標準品を顧客の仕様に適合させる製造拠点を１―２年内にも設ける方針だ。ロシア周辺地域では石油化学関連プラントの新増設や設備更新が増えており、体制を整えて商機に即応する。横河電機は現在、ロシア・ＣＩＳに九つの拠点を持つ。このうち今年に入ってユジノサハリンスク（サハリン州）、アルマトイ（カザフスタン）、キエフ（ウクライナ）に相次いで設置。引き続き０８年にはミンスクなど２都市に拠点を開設する計画。営業・サポート体制の整備と合わせ、制御機器導入後のエンジニアリング面の体制強化を進める。０８年中にはカザン（ロシア内タタールスタン共和国）にある既存の営業拠点を拡張し、技術者のトレーニングセンターを併設する。カザン周辺では石油関連の精製施設が相次いで建設されており、技術力を高めてプラント向け生産制御システムなどの受注につなげる。カザンでは５―１０人体制で展開し、需要増に応じて増員と拠点の法人化を検討する。標準品を顧客の仕様に適合させる拠点は、モスクワやカザンなどに設ける方向で選定作業を進めている。同社は甲府市や中国などの工場で集中生産を行う一方、標準品を顧客の仕様に適合させる拠点の整備を各国で進めている。標準品のカスタマイズを迅速に行い、即納体制を整える。横河電機は０６年にロシアの大手石油化学関連企業であるシブールグループと、同グループの工場で使う制御システムを優先的に採用される契約を結ぶなど、ロシア地域での事業を伸ばしている。豊富なエネルギー資源で注目されるロシア・ＣＩＳで事業拠点を拡充し、今後の需要増に対応する。

■ＮＴＴ<9432>、２０１０年度光回線加入者目標を２０００万件に下方修正
ＮＴＴは２０１０年度に光回線の加入者を３０００万件とした目標を２０００万件に下方修正する。加入獲得の勢いが鈍っており、当初目標の達成は困難と判断した。３０００万という目標は計画を策定した０４年当時から高いハードルと見られていた。今回の下方修正は今後本格化する光回線の接続料問題や次世代ネットワーク（ＮＧＮ）の商用化を踏まえ、現実路線への回帰を決断した。下方修正は９日に三浦惺社長が表明する。新たな目標では２０１０年度にＮＴＴ東日本が１１００万件、ＮＴＴ西日本が９００万件程度で合計２０００万件とする。ＮＴＴ東西地域会社の光回線サービスの加入者は現時点で約７６５万件。０８年３月までに１０００万に近づく見込み。しかし０７年度に入り加入獲得のペースは鈍化している。特にＮＴＴ西は電力系通信事業者との競合が厳しく、加入獲得を強引に進めれば赤字転落という事態も想定される。このため新たな目標では東西間で獲得目標に差をつける。ＮＴＴが目標の下方修正を決断したのは、現実路線に立たざるを得ない状況が目前にあるためだ。まず他の通信事業者に光回線を貸し出す時の接続料の適用期限が０８年３月末に迫る。このためＮＴＴは１２月までに総務省に対し新たな接続料の認可を申請する必要がある。２０１０年度に３０００万件の目標を維持したままでは、接続料算定の根拠となる回線原価は相当低くなり接続料は大幅な減額が求められる。また０８年３月にＮＧＮの商用サービスの開始を計画。ＮＴＴはＮＧＮ網構築と光回線の提供エリアを極力同一化させ、現在の地域ＩＰ網から早期に移行させるという方針も決めている。これら間近に迫った課題への対処として、光回線の提供数も現実路線へとかじを切り、過度な目標の設定による経営悪化を回避する。

△電子部品主要７社、０７年９月中間－全社が営業増益
電子部品主要７社の０７年９月中間は、電子部品需要の堅調な拡大を反映して好決算だった。携帯電話や薄型テレビ、ノートパソコンなどの高機能化や搭載部品の増加、自動車の電装化の進展などが収益増に寄与。本業のもうけを示す営業利益は全社が増益となった。下期以降も電子部品の需要拡大が見込まれるが、部材の価格高騰が収益の圧迫要因になるほか年明け以降の景況に不透明感が漂うなど楽観できない状況にある。
８日発表したアルプス電気<6770>の０７年９月中間は磁気デバイス事業のハードディスク駆動装置（ＨＤＤ）用ヘッドの終息に伴う売り上げ減少を車載やコンポーネントなどの他事業がカバーし、売上高、営業利益で増収増益を確保した。ただ、ＨＤＤ用ヘッドの資産を減損損失として計上したことで当期損益は大幅な赤字となった。９月中間の収益が過去最高を更新したり、通期業績予想を上方修正したりする企業が相次いだ。
村田製作所<6981>は売上高予想に、買収した米国企業の電源事業部門などの２００億円を上乗せして６３５０億円に修正。設備投資は当初予定から２００億円増の年間１２００億円に増額した。「チップ積層セラミックスコンデンサーや表面波フィルターの需要増をにらみ、さらに投資を行うことにした」（村田恒夫社長）として生産能力を増強する。
イビデン<4062>は通期で各利益の減少を予想していたが、セラミック事業が好調で一転して増益に修正した。ただ、電子関連事業は売上高が伸びたが、原材料費の価格上昇に加え市場の競争激化に伴う製品価格の下落で営業利益は減少。「今後も韓国や台湾系メーカーとの競争激化が続く」（竹中裕紀社長）と見ている。
ＴＤＫ<6762>はコンデンサーやインダクターなどの売り上げ増に加え記録メディアの販売事業の譲渡益の発生で、売上高、営業利益、当期純利益で過去最高を更新。
日本電産<6594>は日本サーボ<6585>などの売り上げが加わったほか精密小型モーターなどが好調に推移し、売上高、営業利益で過去最高だった。
京セラ<6971>は売上高で過去最高を更新したが、部品事業単体では減価償却費の増加などが影響して増収減益となった。
ローム<6963>は生産体制の合理化や製品構成の改善により利益率を向上し、営業利益と経常利益の通期見通しを上方修正した。今後の市場の見通しは「北京オリンピックを契機にどんどん売れてほしい。写真、映像機器関係の活性化が期待できる」（疋田純一ローム常務）との声があがる。ただ、米国のサブプライムローン（信用力の低い個人向け住宅融資）問題で、米国の消費が減速すれば「電子部品事業にも少なからず影響を与える」（上釜健宏ＴＤＫ社長）など市場の変調に注意を払う見方も出ている。

△アルバック<6728>、中国社から太陽電池製造ラインを２ライン受注
アルバックは中国の薄膜太陽電池メーカー、チャイナソーラーパワー（山東省）から、太陽電池の製造ライン一式を２ライン受注した。プラズマ化学気相成長（ＣＶＤ）装置やレーザー加工装置、スパッタリング装置などの薄膜形成工程と、組立工程のライン。０８年夏にも納入する。１ラインの価格は５５億円程度だという。製造ラインの立ち上げから試運転、生産指導まで行う。ＣＳＰはシングル構造のアモルファスシリコン薄膜太陽電池を年間５０メガワット規模で生産する計画。

△三菱化工機<6331>、富士石油から水素製造装置の新設工事を受注
三菱化工機は富士石油の袖ケ浦製油所（千葉県袖ケ浦市）から水素製造装置の新設工事を受注した。同装置の受注は今回で１００基目。０９年７月に引き渡す。石油精製で発生した副生ガスを原料として、高温で分解・改質する水蒸気改質炉を使う。水素製造能力は毎時１万５０００ノルマル立方メートル。三菱化工機がこれまでに納入した水素製造装置の累計製造能力は日量１億２２３５万ノルマル立方メートル。

△４―９月の産機受注、９．３％増の３兆２３９８億円
日本産業機械工業会が８日発表した０７年度上期（４―９月）の産業機械受注額は、前年同期比９・３％増の３兆２３９８億円で３期連続で前年同期実績を上回った。内需は堅調な製造業向けに支えられ、同４・９％増の１兆７４４６億円で５期連続で増加。外需は１４・９％増の１兆４９５１億円で、２期ぶりに過去最高を更新した。製造業、非製造業、官公需、代理店向けを合わせた内需全体のうち、石油・石炭、鉄鋼分野が伸び、製造業向けで同１・５％増の７５１７億円と５期連続増。非製造業向けは同５・６％増の５２３６億円と２期連続増。官公需は同１５・４％増の２９９１億円と３期ぶりに前年同期を上回った。外需は中東、欧州を除く全地域で伸び、ボイラ・原動機、化学機械などが好調。

△日立造船<7004>、産機３子会社を来春合併－堺に新工場建設
日立造船は８日、産業機械の子会社３社を０８年４月に合併し、新会社「Ｈｉｔｚマシナリー」を設立すると発表した。資本金は２億５０００万円。Ｈｉｔｚマシナリーは堺市西区の日立造船堺工場内に３０億円を投じて新工場を建設。３社の生産拠点を集約する。０８年９月完成予定。合併するのは製鉄機械・エンジン部品製造のニチゾウ桜島製作所（堺市西区）と、シールド掘進機を製造するジオテックマシナリー（川崎市川崎区）、日機装置（大阪市大正区）の３社。新会社の社長にはニチゾウ桜島製作所の久保正人社長が就任する。産業機械、シールド掘進機などの技術、生産性を高め、輸出を拡大する。

△工作機械主要８社の１０月受注額、１０．２％増の５４６億円
日刊工業新聞社がまとめた工作機械主要８社の１０月の受注実績は、前年同月比１０・２％増の５４６億３９００万円で６１カ月連続で前年同月を上回った。輸出はアジアや欧州向けが引き続き拡大。国内は建設機械向けが活発で５カ月ぶりに同プラスとなった。
オークマ<6103>は「欧州とアジア向けが伸長」、
牧野フライス製作所<6135>は「米国で２輪車、油圧機器向けが活発」。
ＯＫＫ<6205>も「航空機関連の受注があり、米国が若干増加した」。
ツガミ<6101>は「日系以外の自動車メーカーに輸出が堅調」で、６カ月ぶりに合計額がプラスに転じた。
輸出がマイナスの三菱重工業<7011>は「前年に大口案件を受注した影響」。
東芝機械<6104>グループは「シカゴショーの開催で大幅に伸びた前年の反動」。
森精機製作所<6141>は国内外そろって同２０％増加。
ジェイテクト<6473>は「国内で自動車向けに専用機の受注を獲得した」。

△高松機械<6155>、低価格の小型ＮＣ旋盤をアジア市場に投入
高松機械工業は戦略モデルとして低価格の小型ＮＣ旋盤をアジア市場に投入する。中国の合弁会社が開発、製造を担当。部品も現地調達に切り替えてコストを抑える。第１弾として「ＸＴＣ―２０」を５５０万円程度に価格設定して０８年２月にタイで発売、中国などにも段階的に販売先を広げる。低価格機の要望の強いアジア市場で新規の顧客を開拓する。アジア戦略機は、中国合弁会社の杭州友嘉高松機械（浙江省杭州市）が製造する。杭州友嘉高松が製品につけている「タカマツ・フィーラー」のブランド名で販売する。ＸＴＣ―２０は１主軸でタレット式刃物台１基を搭載した。機械を構成するユニットや電装品類などは、現地の日系企業や合弁相手の現地機械メーカー、友嘉実業など、アジア地域から調達する。

△トラック各社、広がる尿素ＳＣＲ－ボッシュ<6041>から主要部品調達
トラックメーカー各社で、ディーゼルエンジン向け排出ガス後処理装置の一つである「尿素ＳＣＲ」（選択還元触媒）が広がりつつある。
日野自動車<7205>といすゞ自動車<7202>は尿素ＳＣＲを共同開発し、０９年にも独ロバート・ボッシュから主要部品を調達する。日産ディーゼル工業と三菱ふそうトラック・バスも共通化した同部品をボッシュから購入しており、トラック各社は規模の効果でコストを低減する。一方、ボッシュは需要拡大に対応、国内での最終組み立ての検討を始めた。今後、尿素水の価格が下がれば、尿素ＳＣＲの採用が一段と広がる可能性は高い。尿素ＳＣＲは、排出ガスに含まれる窒素酸化物（ＮＯＸ）に尿素水「アドブルー」を噴射し、還元反応で水と窒素に無害化する技術。０４年に日産ディが実用化し、欧州大手メーカーが追随した。温度条件で９０％以上のＮＯＸ低減が可能という。

△ＫＹＢ<7242>、緩衝器・懸架装置の欧生産を効率化
ＫＹＢは、ショックアブソーバー（緩衝器）やサスペンション（懸架装置）の欧州生産拠点の効率化に乗り出す。スペインとチェコの連結子会社間で生産品目の見直しを進める。スペイン工場に計６０億円を投資し、新型サスペンションなど高付加価値品の増産体制を整える。同時に、チェコ工場で材料の現地調達比率を引き上げ、コストを低減する。原材料高騰などで、両子会社は赤字が続く。効率を高め、スペインは０９年３月期、チェコは２０１０年３月期での黒字転換を目指す。ＫＹＢは欧州でスペイン、チェコに生産拠点を持つ。付加価値の高い新製品をスペイン工場、製造工程が複雑でない製品や既存製品の一部をチェコ工場に振り分ける。スペインでは、高付加価値製品の生産本数を１２年３月期に現行比約３倍の年１３０万本に増やす。チェコ工場への廉価品移管に伴い、チェコで材料の現地調達体制を整える。

△三菱製紙<3864>、森林認証紙の利用拡大へサポーター制度を発足
三菱製紙は、岩手県岩泉町と三菱ＵＦＪ投信と共同で「ＦＳＣ森林認証の森サポーター制度」を立ち上げた。森林所有者と製紙企業、紙のユーザー企業が森林認証林の管理と認証紙の利用で協力する。紙のユーザー企業である三菱ＵＦＪ投信は認証林の管理費用の一部を岩泉町に提供する代わりに、三菱製紙から森林認証紙を調達できる。岩泉町は面積の９３％を森林が占め、５３００ヘクタールの町有林で森林認証を取得している。三菱製紙も岩泉町の社有林で同認証を取得しており、それらの認証林の管理によって発生する間伐材を森林認証紙の生産に活用する。森林の管理費用を提供する三菱ＵＦＪ投信は、環境活動の一環として森林認証紙を目論見書の作成などに利用する。三菱製紙は今後、紙のユーザー企業２０―３０社にサポーター制度への参加を促し、森林保護と森林認証紙の利用拡大を目指す。

△戸田工業<4100>、電子デバイス事業を本格化－フェライト材料技術を活用
戸田工業はフェライト材料の電子デバイス事業を本格化する。フェライトを原材料とする超小型のコイル、アンテナを使った電子タグなど、材料技術を生かした電子デバイスを販売する。主力の磁性材料などの粉体販売よりも付加価値を高める。３―５年をめどに年間６億円規模の新製品を１０種類以上開発し、電子デバイス事業を新たな柱の一つに育てる考えだ。戸田工業は電子デバイス事業の製品第１弾として、凸版印刷と共同開発したフェライト電子タグの販売を夏から始めている。大きさは幅３ミリ×奥行き９・８５ミリ×高さ１・７ミリメートルで、コイン型タグに比べて厚みはあるが面積を取らず、レイアウトの自由度が高いのが特徴。金属の側に置いた状態（オンメタル）でも、半径４センチメートルの通信特性がほぼ変わらない。

△日本写真印刷<7915>、プラ成形同時加飾フィルムの生産能力を３倍に増強
日本写真印刷は、プラスチック成形同時加飾フィルム（ＩＭＤ箔）を製造する甲賀工場（滋賀県甲賀市）の生産能力を増強する。現在稼働している第一工場の設備増強を０８年５月までに完了の上、第二工場を新設し同年８月の稼働を目指す。総投資額は１０８億円。第二工場は延べ床面積９８００平方メートルで、第一工場と同規模を予定。甲賀工場の現生産能力は明らかにしていないが、設備増強と新工場稼働で現状の約３倍の生産能力が確保できるという。

△日通<9062>、上海発貨物を当日配達－自社一貫輸送サービス開始
日本通運は８日、中国・上海の虹橋空港と羽田空港間の定期チャーター便を利用した自社一貫輸送サービス「虹橋（ホンチャオ）エクスプレス」を始めたと発表した。首都圏の顧客を中心に最短で発送日当日に貨物を引き渡すことが可能。中国で生産された電子機器や精密機械などの輸送の取り扱い拡大を目指す。出発地では日通の中国法人が、貨物の汚れや破損を防ぐための航空機への貨物搭載用具「ユニット・ロード・デバイス（ＵＬＤ）」に貨物を積み付ける。羽田到着後は輸入申告するため千葉県市川市にある自社の保税上屋まで貨物を搬入する。ＵＬＤを使って自社一貫輸送サービスを行うのは業界初という。中国・上海からチャーター便を利用して貨物を輸送する場合、羽田で通関できないため航空会社の手配で成田空港まで転送する必要があった。

△伊勢丹<8238>、０７年９月中間－売上高・経常益が最高
伊勢丹の０７年９月中間は売上高３７０３億円（前年同期比０・４％増）、経常利益１４７億円（同４・４％増）、当期利益５６億円（同３８・６％減）で、売上高、経常利益が過去最高となった。当期減益は商品券回収損引当金など特別損失２５億円を計上したため。配当は５円に据え置く。
岩田屋<8246>の会計期間変更や、全株売却したバーニーズジャパンが連結から外れたことが売り上げに影響したが、それに伴う経費減、百貨店業の好調が収益を押し上げた。百貨店業は伊勢丹単体のほか、静岡伊勢丹、小倉伊勢丹も増収を確保。シンガポール、マレーシア、中国など海外各社も売り上げを伸ばした。０８年３月期は新規出店に伴う経費増、先行投資などを見込むが、百貨店業が堅調を維持するとみて業績を上方修正。売上高７９３０億円（前年度比１・４％増）、経常利益３３０億円（同１・２％減）、当期利益１５０億円（同１８・０％減）を見込む。

△日本和装<2499>、神戸・三宮に「きものスーパー」１号店
日本和装ホールディングス（ＨＤ）は８日、神戸・三宮に着物の常設型販売店舗「きものスーパー」の１号店を開いた。同社が運営する着物着付け教室を修了した２０―５０代女性を主な対象に、着物や帯などを販売する。今後も２―３カ所への出店を検討する。従来、事務所だったスペースを改装して約１３２平方メートルの売り場を設けた。商品は５万―２５万円の価格帯が中心。メーカーからの直接購入により従来に比べ４割以上安い価格を実現したという。「顧客に話しかけない、勧めない」（吉田重久社長）を接客方針に、着物販売の新たなスタイルを打ち出す。商品は個別に製造年月を表示し、通し番号で生産履歴を管理するなどトレーサビリティー機能を付加。店頭で受け渡すクリーニングサービスも行う。着物に関するマナーなどのセミナーも開催する。

▼９月の機械受注、３カ月ぶり１兆円割れ－非製造業部門が大幅減
内閣府が８日発表した９月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」（季節調整値）が前月比７・６％減の９５８７億円と２カ月連続で前月を下回り、６月以来３カ月ぶりに１兆円の大台を割った。７月に鉄道車両の大型注文があった運輸業からの受注の反動減が続くなど、非製造業部門からの受注が大幅に減った。だが、７―９月の四半期ベースでは船舶・電力を除く民需が前期比２・５％増と、３四半期ぶりに前期を上回っており、内閣府は「一進一退」との基調判断を５カ月連続で示した。９月は運輸業のほか通信業からの注文も落ち込んだ。特に携帯電話が減っており、モデルチェンジの端境期だった可能性があるという。船舶・電力を除く非製造業部門全体の受注額は前月比１７・１％減と、大幅に落ち込んだ。製造業部門からの受注額は、前月比５・７％増と堅調。
（日刊工業新聞）

△イーコンテクスト<2448>　自己株式の取得状況発表
イーコンテクストは、８日引け後に自己株式の取得状況を発表した。９月１０日の取締役会議で、９月１３日から１１月３０日までの間に、自己株式３０００株（発行済株式総数３．５２％）を上限として、取得することを決議している。但し、取得価額の総額は３億円を上限としている。１０月の取得株数は、１２７１株（同１．５％）で取得価額は１億６０７９万２８００円であった。従ってこれまでの取得株式数の総数は１４６５株、取得価額の総額は１億７６５０万４３００円となっている。

△ウェブドゥジャパン<2138>　中間期業績は２ケタ増収大幅増益
ウェブドゥジャパンは８日の引け後に、０８年３月期中間業績を発表した。モバイル連動広告「ＡＤサーチ」を中心とするモバイル広告サービスが好調に推移し、売上高１９億１３００万円（前年同期比１５．７％増）、経常利益１億６６００万円（同９１．７％増）、純利益９２００万円（同８３．３％増）と２ケタ増収大幅増益となった。モバイル広告サービスは、インプレッション数（広告が表示され閲覧された回数）が９月単月で８６億を超え、広告配信力が高まったことで、売上高は前年同期比で９５％増の４億６７００万円となり、売上構成比では２４．４％を占めるまでに成長してきた。モバイルコンテンツサービスでは、７月に無料携帯ゲーム＆ＳＮＳサイト「プチゲーフレンズ」を、８月に女性向け電子コミックサイト「寝る前にコミック」を開始しているが、立ち上がりは好調である。その他の既存コンテンツも堅調に推移している。その結果、モバイル事業の売上高は９億５０００万円（同２５．０％増）となった。人材事業は、人材紹介サービスの営業力を強化し、従来のＩＴ・インターネット業界にとらわれない求人の取り扱いを拡大し、登録者数の拡大に注力した。また、テクニカルアウトソーシングサービスと人材派遣サービスでは案件の受注サイクルを早め、売上高は９億６２００万円（同７．７％増）となった。通期業績予想は、売上高３９億円（前期比１１．６％増）、経常利益３億５０００万円（同２７．７％増）、純利益２億円（同２３．６％増）、１株当り純利益５９２２円９４銭を見込む。

（証券日刊新聞）

△造船・重機　９月中間決算　５社そろって増収　景気拡大、円安が奏功
ＩＨＩ<7013>（旧石川島播磨重工業）を除く造船・重機大手５社の２００７年９月中間連結決算が８日、出そろった。
全社が増収を記録し、営業利益は日立造船<7004>を除く４社が過去最高を更新した。世界的な景気拡大を背景に船舶部門や機械部門が好調で、為替相場が円安に振れたことも利益を押し上げた。
０８年３月期でも川崎重工業<7012>と住友重機械工業<6302>が業績予想を上方修正。三井造船も７月末に上方修正しており、各社とも増益を見込んでいる。世界的な旺盛な投資を背景に、当面は好調な業績が続きそうだ。
各社の業績向上を支えたのは、船価上昇に伴う船舶部門の収益改善。三菱重工業<7011>、川崎重工業、三井造船<7003>の３社の同部門の営業損益が黒字転換し、住友重機械工業は前年同期に比べて黒字が２・５倍に拡大した。８日発表の日立造船も船舶関連機械を含む機械・プロセス機器部門の黒字が８割近く増え、鉄鋼・建機部門の落ち込みをカバーし、全体を牽引（けんいん）した。同部門は「高温高圧の反応器なども好調で２年分の受注残を抱え、選別受注を進めている」（小川泰雄取締役）という。この結果、連結ベースの公表を始めた２０００年９月中間期以来、経常損益が初めて黒字に転換した。ＩＨＩは、９月末にエネルギー・プラント事業の多額損失で今期業績を大幅に下方修正。調査委員会を立ち上げて多額損失の原因究明を進めていおり、５日に予定していた中間決算発表を延期している。

△特許・情報フェア＆コンファレンス２００７　翻訳ソフトに熱視線
東京・北の丸公園の科学技術館で開催中の特許情報や知的財産関連の国内最大級の展示会「特許・情報フェア＆コンファレンス２００７」で注目を集めている一つが、特許にからむ翻訳ソフトなど国際化のニーズに応える製品やサービスだ。日本企業が海外で特許出願するケースが一段と増加しているため。２日目を迎えた８日は、晴天に恵まれったこともあって企業の知財財産担当者らが数多く会場を訪れ、これらを出展しているブースで熱心に説明に聞き入っていた。
ＮＲＩ<4307>サイバーパテントは、米国や欧州、世界知的所有権機関（ＷＩＰＯ）の英文特許情報を日本語に翻訳する新サービスを紹介している。専門家による正確な翻訳と、低価格で高速な機械翻訳を組み合わせた点が特徴だ。また、中国語の特許情報を日本語に翻訳するサービスも紹介し、海外特許への対応に役立つことを盛んにアピールしていた。
パトリスが売り込みに力を入れていたのは、企業内に翻訳ポータルサイトを構築するサービス。社内のサーバーに翻訳機能を持たせることで、一般のウェブサイト上の翻訳機能を使用する際の情報漏洩（ろうえい）の危険性を防止することができる。また、３００人以上の大企業の場合、パソコンに翻訳ソフトを導入するよりもコストを抑えられる。開発を担当したクロスランゲージの浅澤弘幸法人営業部長は、「情報漏洩に対する意識の高まりで大規模企業や官庁などへの納入が増えている」と期待する。
日立製作所<6501>のブースでは、海外特許情報の検索サービスに注目が集まった。日米欧の特許情報に加え、来年７月までにはドイツやイギリス、中国など５カ国の情報を検索できる機能も追加する。表示様式が異なる海外特許情報を、日本国内と同じ様式で表示するので利用しやすい点も売り物。西本暢生主任は「訴訟の多い海外での出願に備え、検索の重要性は高まっている」と懸命にＰＲしていた。
キヤノンマーケティングジャパン<8060>は、特許管理ソフトウエアを中心とした法改正の情報提供サービスを重点的に紹介した。国内の法改正には適宜入力項目の変更などで対応できるほか、海外での出願を支援するため欧米やアジアの主要８カ国の特許関連法の改正情報を年２回提供する。パテントソリューション販売推進課の尾崎弘人課長は「代理人を通じて出願する海外出願では得ることのできない情報を提供することができる」と訴えていた。

△タカラトミー<7867>とＴＳＵＴＡＹＡ<4756>　リカちゃんでコラボ
乙女心もリカちゃんも永遠よ－。玩具のタカラトミーとＤＶＤやＣＤのレンタル・販売、書籍販売のＴＳＵＴＡＹＡ（東京都渋谷区）は８日、タカラトミーの着せ替え人形「リカちゃん」とコラボレーションした売り場を全国のＴＳＵＴＡＹＡ店舗で展開すると発表した。子供だけでなく、大人の女性にもリカちゃんのファッション性をアピールしていきたいタカラトミーと、女性向けの良質なカルチャー商品を提案・販売する「ガールズスタイル」を展開しているＴＳＵＴＡＹＡの思いが一致し、コラボレーションが実現した。同日、東京・六本木の「ＴＳＵＴＡＹＡ　ＴＯＫＹＯ　ＲＯＰＰＯＮＧＩ」で、ファッションモデルの藤井リナさんが自らコーディネートした「今までにない、ゴージャスでセレブな感じ」のリカちゃんを披露した。同店では写真家の蜷川実花さんが撮影したリカちゃんの写真展や、藤井さんら５人の著名人が手がけたリカちゃんを２１日まで展示する。キャンペーンは２３日から１２月１９日まで展開。ＴＳＵＴＡＹＡ店内に特集コーナーを作り、リカちゃんをナビゲーター役にして、オススメのＤＶＤやＣＤなどを陳列する。キャンペーンのポスターに登場するオリジナルの「リカちゃん」も１０００体限定で来年３月に販売する。価格は６３００円で、今月中旬から１２月下旬まで「ＴＳＵＴＡＹＡオンライン」で受け付ける。

△ビカム、エキサイト<3754>と提携　商品１５００万点が検索可能に
オンラインショッピング向け商品検索エンジン「ＢＥＣＯＭＥ　Ｊａｐａｎ」を運営するビカム（東京都目黒区）は、インターネット情報サイト「エキサイト」を手掛けるエキサイト（東京都渋谷区）と業務提携し、エキサイトに商品検索サービスの提供を開始した。これにより、エキサイト上でも、ビカムの１５００万点に上る商品データベースが利用できるようになる。検索エンジンを利用するユーザーは、検索結果として表示される商品の色やデザインを比較したり、価格順に並べ替えたりできるため、複数のＥＣ（電子商取引）サイトを閲覧する必要がなくなる。両社はユーザーの利便性を高め、新規顧客の拡大を目指す。ビカムは、「ディノス」や「ＴＳＵＴＡＹＡ　ｏｎｌｉｎｅ」などの大手ＥＣサイトをはじめ、「Ｙａｈｏｏ！ショッピング」「楽天市場」「Ａｍａｚｏｎ・ｃｏ・ｊｐ」などの大手ショッピングモールなどから商品データの提供を受け、国内最大級となる商品データベースを構築している。

△岡村製作所<7994>など　エアシャワー室開発　衣服に付いた花粉、徹底除去
岡村製作所は、身体に付着した花粉などをほとんど除去することができる装置を三機工業と共同開発し、花粉除去ブース「マナー　ジェット」として販売を開始した。花粉症患者が増加するなか、エアカーテン技術によって、手軽に花粉を除去できるようにした装置は初めてという。「マナー　ジェット」は、高性能エアフィルター（ＨＥＰＡ）で無塵清浄した空気をジェット状に吹き出し、衣服や髪に付着した花粉、ホコリを払い落とす装置。また、液体消臭剤を霧状に噴霧することで、同時に消臭する機能も備えた。衣服や頭髪を払いながら１５秒ほどブース内で回転することで、身体に付着した花粉やホコリの約９０％を除去。また、除去した粒子はブース外に漏れることなく、ほぼ１００％をフィルターで捕捉するという。本体はガラスパネルを使用した扉のない開放的な形状している。花粉、ホコリの高い除去性能とエアカーテン効果によってブース外部に拡散する心配がない。現在、日本人の約２０％が花粉症で苦しんでいるといわれる。この予防策として、エアコンや空気清浄機などで室内空気を浄化する対策は取られているが、外部から室内に持ち込まれる花粉、ホコリに対しては、各自が衣服や髪をよく払うか、完全個室型のエアシャワールームを設置するしか対策がなかった。このため両社は、入口にエアカーテンを取り付けたオープンタイプによって、簡単に使うことができる花粉除去装置を開発。病院や工場、研究所など１６カ所にモニター機を設置してヒアリングを重ねてきた。これらを踏まえ、消臭機能を付加したり、空気噴出の作動時間を表示するなどの改良を施した。価格は２０７万９０００円。初年度販売目標は１億円。

△日本製紙<3893>　石巻工場に新設備　印刷用紙輸出を強化
日本製紙グループ本社傘下の日本製紙は８日、石巻工場（宮城県）に印刷用紙の最新鋭生産設備を完成させ、竣工（しゅんこう）式を開いた。国内需要の頭打ちと、原燃料価格の高騰で経営環境が厳しい中で、高品質の印刷用紙を生産して輸出強化を目指す。ただ、王子製紙なども印刷用紙の製造設備を相次いで増強するため、生産量が過剰になり値崩れの原因につながるとの懸念も出ている。石巻工場の新設備では、雑誌やチラシに使う塗工紙などを製造。関連設備も含めた投資額は約６３０億円に上る。生産能力は年３５万トンで、従業員８人で操業できる高い効率性が特徴という。これで石巻工場の生産能力が年１２０万トンになり印刷用紙で日本最大級の生産拠点となった。日本製紙の中村雅知社長は式典で「世界との厳しい企業間競争を制するかぎは生産設備の大型化と最新鋭化、大型臨海工場の競争力強化だ」と述べ、塗工紙の生産に力を入れるとともに輸出拡大に意欲を示した。

△情報漏洩リスク軽減　ＡＴＭデータ管理　沖電気<6703>が北越銀<8325>に納入
沖電気工業は８日、ＡＴＭ（現金自動預払機）の取引履歴などのデータをオンラインで収集して一括管理する「ＡＴＭジャーナルオンライン保管システム」を北越銀行に納入し、運用を開始したと発表した。ＡＴＭにデータが残らないため、情報漏洩（ろうえい）リスクを大幅に軽減できる。新システムは、金融機関のセンター設備で、各ＡＴＭの取引履歴データをネットワークを通じて自動的に収集し、保存する仕組み。ＡＴＭにデータを残さず、情報漏洩や災害によるデータ消失のリスクが低減できる。また、犯罪発生時にデータ照会を迅速にできるメリットもある。北越銀行は９月から新システムの運用を開始。こうしたシステムが国内で運用されるのは今回が初めてという。沖電気は今後３年間で１００の金融機関への販売を目指す。
（FujiSankei Business i）