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2011 06,11 11:00 |
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【日本株週間展望】底堅い、低PBRを評価-米経済と円高懸念は重し 6月第3週(13-17日)の日本株相場は、底堅く推移する見通し。東証1部の株価純資産倍率(PBR)が割安な水準に低下しているうえ、混乱していた政治に変化の兆しが出始めており、一定の買いが入りやすい。半面、米国経済の先行き懸念が強まっていることから、上昇は小幅となりそうだ。 バークレイズ・キャピタル証券の高橋文行ストラテジストは、震災による供給制約が緩和に向かっているほか、「PBRが1倍水準にあること、日本銀行による株価指数連動型上場投資信託(ETF)買いへの期待」も考え合わせ、日本株の下値は固いとの見方を示す。 国内大手証券は第2週に、アナリスト予想などに基づいて集計した最新の企業業績見通しを相次いで公表した。大和証券キャピタル・マーケッツでは、今期(2011年度)は上期を中心に東日本大震災による供給制約などが響き、経常利益予想を前期比2.2%減と、前回3月予想の同15%増から下方修正した。野村証券も同利益を0.3%減と、3月時点の予想(13%増)から引き下げた。 ただ両証券とも、震災で被災した工場の復旧やサプライチェーン(供給網)問題の解消が早いスピードで進んでいることから、下期から来期(12年度)にかけては持ち直すとみている。来期経常利益は、大和証CMが今期予想比28%増、野村証は同23%増を予想する。 大和証CMで試算をまとめた高品佳正シニアアナリストは、引き続き堅調な外需に、震災からの復旧・復興需要を含めた内需の回復も加わり、「来期の経常利益水準は過去最高を記録した07年度の約9割まで回復する」とみている。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
生産正常化による今後の企業収益回復が見込まれるなか、東証1部のPBRは10日時点で1.01倍まで下がっており、バリュエーション(投資尺度)面での割安感が指摘されている。PBRでは1倍が理論上の会社解散価値に相当する。 バークレイズ証の高橋氏は、国際的な株価バリュエーション指標の比較では日本株のPBRは最低水準にあるが、これは株主資本利益率(ROE)が低いためと指摘。しかし、「震災によるショックからの業績改善でROEの改善が見込まれることを考慮すると、現在1倍のPBRから見て、日本株は過小評価されている可能性がある」と話す。 また、相場の下落局面では、日銀によるETF買いへの期待も強まる。午前の取引でTOPIXが1%以上下げたケースで、日銀がETF買いに動くといった法則があるためだ。日銀の出動回数はこれまで19営業日を数え、1回目(昨年12月15日)以外は直近の6月2日まで18 回連続でこの法則が当てはまる。 このほか、2日の衆院本会議で菅直人内閣に対する不信任案が野党3党から提出されて以来、混迷の度合いを増していた国内政治にも新しい動きが出てきた。菅首相(民主党代表)の「退陣表明」を受け、民主党内では後継の首相・代表候補として野田佳彦財務相、前原誠司前外相らの名前が浮上している。 クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、「国内政治情勢が変化し、経済構造改革進展の展望が開ける可能性が高まっている」と指摘。復旧・復興投資を中心に一時的には財政政策が拡張的に運営されるとみられるが、少子高齢化による社会保障支出増で財政政策の裁量性は大きく低下すると予想されるためで、「対外経済取引の自由化や、規制緩和の推進、税制・社会保障制度改革などに従来以上に踏み込む可能性がある」としている。 一方、米国では、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が7日の講演で、景気回復について「いらいらするほど緩慢」と発言するなど、景気減速懸念が強い。3日に発表された5月の雇用統計で非農業部門の雇用者数の伸びが大幅に縮小するなど、このところ弱い経済指標が目立ち、米国株は5月以降、調整局面に入っている。S&P500種株価指数は4月29日に約2年10カ月ぶりの高値を付けた後、9日終値まで5.5%下げている。 米景気警戒と円高 第3週の米国では経済指標の発表が相次ぐ。14日に5月の小売売上高、15日に5月の消費者物価指数(CPI)や鉱工業生産、ニューヨーク連銀製造業景況指数、16日に5月の住宅着工や6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、17日は6月のミシガン大学消費者信頼感指数などが予定。米国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費の動向を示す意味で注目される小売売上高については、エコノミスト予想中央値は前月比0.4%減と、11カ月ぶりのマイナスが見込まれている。 「米景気懸念を背景に、円高・ドル安基調にあることが気がかり」とSMBC日興証券国際市場分析部の橘田憲和次長は話す。第2週の外国為替市場では1ドル=79円台後半まで円高が進行した。米国の緩和的な金融政策が続くとの観測が強まり、米2年債利回りが昨年11月以来の水準に低下、これがドルからの資金流出を加速させた面がある。 橘田氏によると、電機業界の主要企業の想定為替レートは1ドル=83-85円。「円高抵抗力を強めているとはいえ、80円割れの円高水準では輸出企業の採算悪化を意識せざるを得ない。輸出関連株は厳しい状況に置かれている」との認識を示す。10日にトヨタ自動車が公表した今期(2012年3月期)業績計画の為替前提は、1ドル=82円(前期86円)、1ユーロ=115円(同113円)。 国内では、13日に4月の機械受注、14日に4-6月の法人企業景気予測調査、16日に5月の首都圏マンション販売が発表される。このほか、13-14日に日本銀行の金融政策決定会合が開催される。中国では14日に5月の小売売上高、CPI、鉱工業生産が明らかになる。 【市場関係者の見方】 ●SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦シニアストラテジスト ●オフィス・セントポーリア代表の馬渕治好ストラテジスト ●証券ジャパンの大谷正之調査情報部長 記事:東京 河野 敏 Satoshi Kawano PR |
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